アウトレプレナーズ 01 株式会社KTX 野田太一社長<第2回>

 自社の解析技術で時間とコスト減、試行錯誤の止水板

新規事業である「じゃない方事業」のなかでも特に好調なのが、止水板の製造だ。
近年、気候変動によるゲリラ豪雨や大型台風の被害が、全国各地で相次いでいる。自宅近くにも河川があることから他人事とは思えず、自社でできることはないかと野田氏は考えを巡らせた。

「調査によると、全国の約97%の市区町村で、過去10年以内に水害が発生しているという結果も出ています。法人・個人問わず、水害を防ぐ手立ては需要があるのではないかと考えました

 思いついたらまずは手近なところから、ということで、大手サッシメーカーに見積もりを依頼してみた。
しかし、納期やコストの面で折り合いがつかず、一度は断念。新たな方法を模索した。

 起案から2年。鍵となったのは、自社の持つ解析技術だった。

「止水板を製造しているメーカーのなかでも、自社で解析を行っているところは少ないというのが現状です。また、通常止水板の検証やデータ採取をするためには、巨大な水槽を使って水流を起こすなどして、大掛かりなトライアンドエラーを繰り返さなくてはなりません。
しかし、研究開発型の製造業である当社では、解析の技術に長けていたため、製造に必要なデータをコンピュータでシミュレーションすることができました。その結果、製造工程において時間とコストの無駄をなくすことができたのです

改良を重ねた「スーパー止水番2」。ネオジウム磁石を採用しているため、保持力や耐久性に優れている。
取り付け先の間口に合わせたサイズで作ることができる。

 同社の解析技術は、大手のゼネコンや航空部品メーカーなどからもその腕を買われるほど優れたもの。その技術を応用すれば、水の当たる角度や水圧、使用する素材や厚みなどさまざまな条件下での結果を瞬時に算出できる。
つまり、他社において時間とコストがかかる工程を縮小することができたのだ。

 その都度、製品の改良も幾度となく行われた。緊急時に人が持ち運べる重さになっているか、設置方法は適切か、製造コストと技術に無理は生じていないか。
何度も諦めかけたが、自社の解析技と、“モノづくり企業”であることのの矜持が、妥協を許さなかった。

 その結果、止水性能はJIS規格最高等級のWs‐6、Ws-5相当であることが証明されるまでに。マグネット式で緊急時でも簡単に設置でき、アルミ製のため軽量で女性にも扱いやすいものとなった。
製品は「スーパー止水番2」と命名され、全国の公共施設や企業から問い合わせがあるほどの看板製品となったのだった。

第3回>へ続く

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