アウトレプレナーズ 01 株式会社KTX 野田太一社長<第3回>

新人を抜擢し権限委譲。突飛なアイデアで事業に勢いを

 この「スーパー止水番2」の広報兼営業として抜擢されたのが、じゃない方事業部 営業マネージャー・樋口幸司さん。当時、入社まもない新人だった。

 転職サイトからの応募がきっかけだと話す樋口さん。もともとBtoC向けの営業職であったが、新事業の立ち上げフェーズや広報活動にも興味があったという。

社長は面接の際、『じゃない方事業に対する思いを熱く話してくださいました。そのときに、立ち上がったばかりの止水板事業についてもお聞きし、この魅力的な製品を広めたいと思ったため、入社を決めました。
また、新しいアイデアをどんどん推進していく社長の人柄にも惚れ込みました

新規事業を任された樋口幸司さん。「自分なりにどうPRしていくべきかを考えました。
最近では社長とLINEでこまめにやりとりするようになり、距離も近く感じられます」と話す。

 樋口さんは入社時、人材マネジメントにも注力したいと話していたそうで、それならばと野田氏は二つ返事でマネージャー業務と止水板のPRの任を与えた。
転職間もない社員に、新規事業部内の人材マネジメントと主力製品の営業・広報を任せることに抵抗はなかったのだろうか。

私は、やりたいという人にはすぐに任せます。もちろんその人の性格や可能性を見極めてのことですが。樋口君は任せても大丈夫だと思ったんです。だからある程度の予算内であればまずは走らせてみることにしました。
その際、こまめなやりとりには心がけました。丸投げするのではなく、彼がどう思っているのか、何を考えていてどう動こうと思っているのか。彼のプランに耳を傾け、承認する。そんなやりとりを毎日のようにしていましたね

 樋口さんはまず、企業や行政からの紹介や卸に頼っていた部分を見直し、DMやウェブ広告を活用して買い手に直接訴えかける手法をとった。その反応率を見て営業をかけつつ、能力のある人材を厚く配置するなどしてマネジメントも進めていった。

さらにユニークなのは、PRキャラクターの設定。筋肉自慢の社員を起用し、アメコミさながらのスーパーヒーローに仕立て、企業展やイベントで目立つようにした。「予算をかけずに面白いことをやりたかったんです」と話す樋口さんの隣で「これはさすがに思いつかないよね!」と野田氏も脱帽だ。

「スーパー止水番2」PRキャラクター・板ちゃんマン。担当する板津さんは「日頃の筋トレが役に立ちました」と話す。
「使えるものはなんでも使います」と仕掛け人の樋口さん。

 若手による新鮮なアイデアと、権限委譲。
人を見込み、信じて走らせることから、思わぬ成果が生まれるのかもしれない。

最終回>へ続く

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