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導入
近年、顧客体験の向上はビジネス成功の鍵とされています。
この顧客体験の向上を実現する上で重要なのが「カスタマージャーニーマップ」です。
カスタマージャーニーマップは、製品やサービスと顧客の接点「タッチポイント」をビジュアル化したものです。顧客が製品やサービスを認知し、購入し、利用し、最終的にロイヤリティを築くまでの全プロセスを包括的に示します。
この記事では、カスタマージャーニーマップの基本概念、作成方法、実際の成功例、一般的な課題と解決策を幅広く解説していき、顧客体験の改善と、競争優位を築くことを目的とします。
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カスタマージャーニーマップの基本概念
カスタマージャーニーマップは、顧客の購買プロセスをビジュアル化したもので、顧客体験を深く理解し改善するためのツールです。カスタマージャーニーマップでは顧客が製品やサービスに初めて知る段階から、購入して使用するまでの全過程を可視化します。
重要なポイントは、顧客と製品・サービスの「タッチポイント」の設計です。ウェブサイト訪問、SNSでのコミュニケーション、店頭体験、カスタマーサポートの対応などが含まれ、それぞれのポイントが顧客の印象や行動に影響を与えることを意識する必要があります。
カスタマージャーニーマップでは、顧客が体験する様々な段階を「ステージ」と呼びます。
▼ステージ
- 認知
- 興味・関心
- 比較・検討
- 購入
- 使用・評価
各ステージでは、顧客の行動、思考、感情、課題が異なります。
企業は各ステージに内包する顧客情報を活用して、顧客体験を改善と製品やサービスの弱点を特定することが重要です。
結果として、顧客の期待を超える製品とサービスの提供や顧客満足度の向上を実現することができます。企業は作成したカスタマージャーニーマップを製品やサービスの開発、販売戦略に常に活かすことでプロジェクトメンバー全員が「顧客視点」を持つことができます。
たとえば、顧客が購買プロセス中に迷いが生じ、離脱していると感じる場合、
- 該当購買プロセスにおいて、顧客はどのような心境にあるのか
- どんな情報があればその心境を解決できるのか
- 情報はどのような媒体や場所で伝えるのが最適なのか
これらを明確にして改善することで顧客満足度を高められ、マーケティング戦略の精度向上においても非常に価値があります。顧客の関心やニーズが変化する過程を把握することで、より最適なコミュニケーションやプロモーションを行えます。
また、カスタマージャーニーマップは、新たな市場機会の発見や将来の購買行動予測にも役立ちます。データを分析することで、未来のトレンド予測や、製品開発やサービス改善を行うことが可能です。
カスタマージャーニーマップの作成手順
ステップ1: 顧客ペルソナを定義する
カスタマージャーニーマップ作成の最初のステップは、代表的な顧客ペルソナを定義することです。
ペルソナは、実際の顧客データに基づいた、理想的な顧客の架空のプロファイルです。年齢、性別、職業、趣味、購買動機などの情報を含めることで、リアルな顧客像を作り出します。
製品やサービスがどのような顧客をターゲットにしているのか、代表的な顧客となる具体的な人物像です。
ペルソナを作る際は、性別・年齢・学歴・職歴・年収・家族構成・趣味・ライフスタイル・普段読んでいる本や使っているアプリ、休日の外出先などを明確に記載します。実際に存在している人のように具体的な人物像を設定します。
ステップ2: カスタマージャーニーマップの各ステージを特定する
次に、顧客が製品やサービスに出会い、最終的にロイヤリティを築くまでの各ステージを特定します。
▼各ステージ
- 認知
- 興味・関心
- 比較・検討
- 購入
- 使用・評価
各ステージで顧客が体験することを詳細に記述します。
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ステップ3: タッチポイントをマッピングする
各ステージにおける顧客と製品・サービスのタッチポイントを特定します。
タッチポイントは顧客と製品・サービスが接触する点です。タッチポイントは顧客の体験に強い影響を与え、各ステージにおける顧客の感情や行動を形作る重要な要素です。
▼タッチポイントの例
- 製品・サービス紹介サイト
- SNS
- CM
- 店舗
- ECサイト
- カスタマーサポート
ステップ4: 顧客の行動、感情、思考を分析する
顧客が各タッチポイントでどのように行動し、どのような感情や思考を持つかを分析します。
▼分析に役立つこと
- 顧客のフィードバック
- ウェブサイト等の行動データ
- 市場調査結果
- アンケート、ヒアリング
顧客の感情や反応をカスタマージャーニーマップ上に記述することで、体験内容や質を可視化します。
ステップ5: ペインポイントや課題と改善方法を見つける
マップ上で顧客のペインポイントや課題を特定し、改善するための方法を見つけます。
ペインポイントとは、顧客がお金や手間等のコストを払ってでも解決したい問題や悩みのことを指します。 新規事業創出では「顧客ニーズ」を重要視しますが、それ以上に「ペインポイント」を明確にして、製品やサービスの開発・改善を行っていくことが重要とされています。
ペインポイントや課題を特定するには、商品やサービスに対する顧客からのフィードバックや苦情(クレーム)、購買プロセス中の離脱ポイントなどが含まれます。
ステップ6: カスタマージャーニーマップの評価と改善
カスタマージャーニーマップを定期的に評価し、市場や顧客の動向の変化に合わせて更新する必要があります。
顧客体験の改善は継続的な活動のため、改善が行われた際にはマップに変化を反映しましょう。
カスタマージャーニーマップの作成プロセスを通じて、企業は顧客の体験を深く理解し、製品やサービスを顧客体験ドリブンに最適化することができます。正確で包括的なマップは不可欠なビジネス成功に必要な要素です。
カスタマージャーニーマップの要素
カスタマージャーニーマップを作成する際に最も重要なことは、必要な要素を把握して統合することです。
要素には、ステージ、タッチポイント、顧客の行動、思考、感情などが含まれ、顧客体験をそれぞれ違った角度から評価することに役立ちます。
ステージ
カスタマージャーニーは一連のステージで構成されています。
▼ステージ
- 認知
→顧客が製品やサービスを初めて知る。 - 興味・関心
→様々な媒体から製品やサービスの情報を収集し、自身の欲求やニーズに合致するかどうかを判断する。 - 比較・検討
→顧客が製品やサービスについて情報を集め、比較・検討する。 - 購入
→実際に製品を購入する。 - 使用・評価
→顧客が製品やサービスの使用体験を通じて、ブランドに対する好感や愛着を築く。
タッチポイント
タッチポイントは顧客と製品・サービスが接触する点です。タッチポイントは顧客の体験に強い影響を与え、各ステージにおける顧客の感情や行動を形作る重要な要素です。
▼タッチポイントの例
- 製品・サービス紹介サイト
- SNS
- CM
- 店舗
- ECサイト
- カスタマーサポート
顧客の行動
カスタマージャーニーマップでは、顧客が各ステージでどのような行動を取るかを詳細に追跡することが重要です。
▼顧客行動の一例
- 製品やサービスのウェブ検索
- 競合製品との比較
- ユーザーレビューの参照
- 他ユーザーの使用レポート参照
- 製品フィードバック記事の参照
これらの顧客行動を理解することで、その行動を促進または阻害する要因も把握できます。
顧客の思考と感情
カスタマージャーニーマップの各ステージで、顧客がどのように感じ、何を考えているかを把握することも重要です。感情は顧客の満足度に直接関わるため、カスタマージャーニーマップではこれらを詳細に記録します。
▼一例
- 購入プロセス中に感じる不安や満足
- 製品使用後の喜びや失望
これらの要素を組み合わせることで、カスタマージャーニーマップはより精度の高いものになります。
各ステージにおける顧客の行動、思考、感情を理解し、タッチポイントでの体験を最適化することで、企業は顧客満足度を高め、長期的な関係に繋がります。また顧客体験の改善だけでなく、製品やサービスの革新、マーケティング戦略の精度向上にも影響します。カスタマージャーニーマップは、単なる分析ツールではなく、顧客中心のビジネス戦略を形成するための基盤となります。
カスタマージャーニーマップの実践例
事例1: オンライン小売業
カスタマージャーニーマップを使用して、顧客の購買プロセスを分析しました。各タッチポイントで顧客の行動、感情、課題を特定し、ウェブサイトのナビゲーション改善、製品情報の充実、チェックアウトプロセスの簡素化に着手。その結果、顧客満足度が大幅に向上し、カート放棄率が減少。
事例2: テクノロジー企業
新しいソフトウェア製品の市場導入に際し、製品認知から購入、そして使用後のフィードバックまでの各ステージを分析。特に製品デモやチュートリアルの改善を行い、顧客が製品の利用方法をより容易に理解できるように。結果として、顧客エンゲージメントと製品採用率が大幅に向上。
事例3: サービス業
カスタマージャーニーマップを用いて顧客サービスの経験を改善。顧客のフィードバックを収集し、カスタマーサポートチームによる顧客課題の解決が最も重要であると判断。カスタマーサポートチームの教育・トレーニングを強化し、顧客満足度が向上し、リピート率と口コミによる新規顧客の獲得が増加。
新規事業開発の源泉となるアイデアの発想法は以下の記事で解説しています。
カスタマージャーニーマップの課題と解決策
カスタマージャーニーマップは、顧客体験を理解し改善するために重要ですが、作成に当たり様々な課題に直面することがあります。ここでは、一般的な問題とその解決策を記載します。
課題1: 不完全な顧客データ
カスタマージャーニーマップを作成する際の主な課題の一つは、不完全または不正確な顧客データの存在です。不十分なデータは、顧客体験の誤った理解につながります。
▼解決策
顧客データの収集と分析に焦点を当てることが重要です。市場調査、顧客インタビュー、フィードバックフォーム、ソーシャルメディアの分析など、多角的なアプローチでデータを収集し、その質を高める努力が必要です。
課題2: タッチポイントの特定の困難さ
現代は様々なチャネルが存在するため、顧客が製品・サービスとどのようなコミュニケーションを行うかを完全に理解することは難しい傾向にあります。特にデジタル環境では、多数のタッチポイントが存在し、これら全てを特定するのは困難です。
▼解決策
カスタマージャーニーマップのマッピングを始める前に、すべての可能なタッチポイントをリストアップし、顧客行動の追跡を最優先します。各ステージでの顧客の行動を細かく観察し、データを収集します。
課題3: 継続的な更新漏れ
市場や顧客のニーズは絶えず変化しているため、一度作成したカスタマージャーニーマップがすぐに時代遅れになります。
▼解決策
カスタマージャーニーマップは動的なツールであるべきです。定期的なレビューと更新を行い、新しいデータや市場の変化を反映させる必要があります。このプロセスを組織の日常的なルーチンに組み込むことが重要です。
課題5: 顧客の感情や思考の理解
顧客の行動だけでなく、その背後にある感情や思考を理解することは難しいことがあります。
▼解決策
顧客インタビューやアンケート、フォーカスグループを通じて、顧客の感情や思考を直接探ります。顧客のフィードバックを真摯に受け止め、それをカスタマージャーニーマップに反映させることが重要です。
カスタマージャーニーマップの作成と継続的な改善は難しいものですが、実行できれば企業は顧客体験を劇的に改善し、長期的な顧客との関係作りやビジネスの成功を達成することができます。
まとめ
カスタマージャーニーマップは、顧客体験を深く理解し、改善するための重要なツールです。この記事では、カスタマージャーニーマップの概念、その構成要素、作成手順、実践例、課題と解決策を記載しました。
カスタマージャーニーマップの最大の強みは、企業が顧客の視点から製品やサービスを見つめ直すことを可能にする点にあります。各ステージで、顧客行動、感情、思考を理解することは、顧客中心のビジネス戦略を形成するための基盤となります。マップの作成プロセスを通じて、顧客のニーズを満たし、顧客体験を改善するための重要な気づきを得ることにも繋がるので、是非実践してみてください。
今後、カスタマージャーニーマップは、デジタル化の進展と顧客の期待の高まりにより、さらに重要性を増すことが見込まれています。ビッグデータ、人工知能(AI)技術の進化により、より詳細で正確な顧客データの収集と分析が可能になるためです。
是非この機会にカスタマージャーニーマップを作成し、顧客体験を中心にビジネスを展開してみてください。
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