【2024年最新版】新商品開発のプロセスとスキルを本気で解説してみた

目次

この記事は実際の新商品開発マニュアルに沿って解説を進めます。

新商品開発には多くのスキルと正しいプロセスが求められますが、その具体的な内容や手順、方法について解説している記事はほとんど有りません。本記事では、新商品開発・新製品開発・新サービス開発プログラムの開発と支援で培ってきた経験とナレッジをもとにした新商品開発に必要なスキル・プロセスについて解説します。

新商品開発・新製品開発・新サービス開発開発のプロセスは4つのフェーズに沿って進行します。

  1. フェーズ1:顧客ニーズ検証(手順①〜⑦)
  2. フェーズ2:ソリューション検証(手順①〜⑤)
  3. フェーズ3:製品・サービス検証(手順①〜⑤)
  4. フェーズ4:市場価値検証(手順①〜⑧)

これらのフェーズ、手順に従いながらプロジェクトを進めていただくことで、多くの新商品開発・新製品開発・新サービス開発を成功させてきたメソッドに則ったプロジェクトを進行が可能です。

また新商品開発の再現性が高く、改善しやすいプロセスなので、プロジェクト方針の転換や再度の新商品開発・新製品開発・新サービス開発が必要となった場合でも、確実に成功に導くことが可能です。

▼この記事の執筆者

小林 延光
取締役COO・アウトレ統括責任者
アウトレのブランディング・プロダクト開発・広報マーケティング・セールス・カスタマーサクセスの全責任者。
複数の事業会社において、事業統括、事業開発、経営企画、経営管理を経験。グロービス経営大学院(MBA)修了。

フェーズ1:新商品を求める顧客のニーズ検証を行う

手順①:新商品のターゲット像に当てはまる顧客にインタビューを行う

顧客インタビューの重要性

顧客インタビューは市場のトレンドや顧客のニーズを理解するための重要な手段です。

市場のトレンドを把握することで、競合他社の動向や消費者の嗜好の変化を迅速に捉えることができます。また、顧客のニーズを直接聞き出すことで、新商品・新製品・新サービスの改善点が明確になり、顧客満足度を向上させることができます。これにより、自社のアイデアが市場で受け入れられるかどうかを事前に知ることができ、商品開発やサービス提供のリスクを軽減することが可能です。

さらに、顧客インタビューを通じて得たフィードバックは、戦略的な意思決定に役立ち、競争力の向上に繋がります。顧客の声を直接聞くことで、より具体的で現実的な市場理解が得られ、長期的なビジネスの成功に貢献します。

インタビューの目的とメリット

顧客インタビューの主な目的は、顧客のニーズや期待を深く理解し、新商品・新製品・新サービスの改善に役立てることです。

例えば、大切な人にプレゼントを買う際にその人が何を欲しいかをさりげなく聞くように、顧客が本当に欲しいものや求めていることを直接聞くことが重要です。これにより、顧客の満足度を高めることができます。顧客インタビューのメリットとしては、顧客の潜在的なニーズを発見できること、顧客との信頼関係を築けること、そして市場での競争力を向上させることが挙げられます。

さらに、顧客インタビューを通じて得られた情報は、マーケティング戦略や商品開発において非常に貴重なインサイトとなります。

仮説の検証

仮説を検証するプロセスは、顧客インタビューの中で非常に重要な役割を果たします。

仮説を立てる際には、自分の経験や知識、社会通念に基づいてある程度の予測を行います。しかし、その仮説が正しいかどうかを検証するためには、実際の顧客の意見を聞くことが不可欠です。顧客インタビューは、仮説を迅速かつ効果的に検証するための手段です。顧客のフィードバックを通じて、自分の仮説が実際のニーズや問題に適合しているかを確認し、必要に応じて仮説を修正することができます。

これにより、より精度の高い市場分析や商品開発が可能となり、ビジネスの成功確率を高めることができます。

デザイン思考で顧客インタビューを行う

デザイン思考は、ユーザーを中心に考える問題解決のフレームワークです。
デザイン思考では、ユーザーの状況や感情を深く理解し、最適な解決策を見つけ出すことを目的としています。
顧客インタビューにおいても、デザイン思考の考え方は非常に有効です。

デザイン思考のプロセスには、

  1. 共感(Empathize)
  2. 定義(Define)
  3. アイデア出し(Ideate)
  4. プロトタイプ(Prototype)
  5. テスト(Test)

の5つのステップがあり、これらを通じてユーザーの真のニーズを引き出し、革新的な解決策を提供します。

特に顧客インタビューでは、共感のステップが重要であり、ユーザーの視点に立って彼らの課題や感情を理解することが求められます。

効果的な質問

顧客インタビューを成功させるためには、適切な質問をすることが重要です。

効果的な質問の一つは、

  1. いつ
  2. どこで
  3. 誰が
  4. なにを

といった具体的な事実を尋ねることです。これにより、顧客の実際の経験や行動を詳細に把握することができます。
また、「なぜ」ではなく「どうして」という感情に寄り添った質問も重要です。「なぜ」という質問は理性的で形式的な回答を引き出すのに対し、「どうして」という質問は感情的で口語的な回答を引き出しやすく、顧客の真の動機や感情に迫ることができます。これにより、顧客の本音や潜在的なニーズをより深く理解することができます。

必要なアウトプット

顧客インタビューは、市場のトレンドを理解し、顧客のニーズを把握し、自社のアイデアが受け入れられるかどうかを知るための強力な手段です。そのため、インタビューを実施して得られたインサイトはチームメンバーやプロジェクトリーダーがいつでも確認できる場所に記録し、共有することが重要です。

入力フォーマットはお手元のWordやメモ帳等問いません。
※本記事では新規事業開発プログラム「アウトレ」の新規事業開発アプリの画面を用いて説明しています。

インタビュー結果のアウトプット先は企業ごとに最適なツールを選択すれば良いですが、一例として

  1. Google ドキュメント
  2. notion
  3. Slack
  4. Craft
  5. Evernote
  6. Teams

などが挙げられます。

記載すべき項目は以下を参考にしつつ、自社に必要なヒアリング項目を組み立てみてください。

  1. ヒアリング実施日時
  2. ヒアリング対象の名称や氏名
  3. ヒアリングした内容を詳細に記載する

新商品開発・新製品開発・新サービス開発のアイデアの発想法は以下の記事をご確認ください。

手順②:新商品の顧客定義と構造化を行う

収集した情報をもとに新商品の顧客を定義し、ターゲット層を明確にします。
そのためにバリュープロポジションキャンバスを活用します。

バリュープロポジションキャンバスの概要

バリュープロポジションキャンバスは、顧客のニーズと自社の提供する価値を一致させるためのツールです。キャンバスは、顧客セグメントとバリュープロポジションの二つの部分で構成されています。これにより、顧客が求める価値と自社が提供する価値を視覚的に整理し、ビジネスモデルを最適化できます。

バリュープロポジションキャンバスの構成要素

顧客セグメント

  1. カスタマージョブ
    • 顧客が達成したいタスクや目標。
      例えば、日常的なタスク、仕事関連の目標、個人的な成長などです。
      具体例として、忙しいビジネスマンが時間を節約したいというジョブがあります。
  2. ペイン
    • 顧客が直面する課題や不満。
      例えば、現在のソリューションが高コストである、使いにくい、サポートが不十分などです。
      具体例として、長い通勤時間によるストレスがあります。
  3. ゲイン
    • 顧客が得たい利益や価値。
      例えば、時間の節約、コスト削減、生活の質の向上などです。
      具体例として、通勤時間を短縮し、その分を家族と過ごす時間に充てたいというゲインがあります。

顧客への価値提案

  1. プロダクト&サービス
    • 自社が提供する新商品・新製品・新サービス。
      これには、物理的な商品、デジタルサービス、コンサルティングなどが含まれます。
      例えば、時間を節約するための効率的な交通手段やアプリなどです。
  2. ペインリリーバー
    • 顧客のペインを解消する方法。
      例えば、使いやすいインターフェース、低コスト、高品質のサポートなどです。
      具体例として、予約が簡単で、迅速に利用できる交通サービスがあります。
  3. ゲイナーレイター
    • 顧客のゲインを実現する方法。
      例えば、時間の節約、コスト削減、生活の質の向上などです。
      具体例として、利用するだけでポイントが貯まり、将来的に割引が受けられるサービスがあります。

使い方のステップ

  1. 顧客セグメントの特定
    • 新商品がターゲットとする顧客セグメントを明確にします。
      市場調査や既存のデータを活用して、具体的な顧客像を描きます。
      例えば、20代から30代の働く女性をターゲットの場合、彼女たちの生活スタイルや消費行動を詳細に分析します。
  2. カスタマージョブの洗い出し
    • 顧客が達成したいジョブをリストアップします。
      これは、顧客が日常的に行うタスクや目標を具体的に挙げる作業です。
      例えば、効率的に通勤したい、健康的な食事を取りたいなどのジョブを特定します。
  3. ペインの特定
    • 顧客が直面する具体的なペインを明確にします。
      これは、現在の生活や仕事において顧客が感じている不満や問題点を洗い出す作業です。
      例えば、通勤時間が長い、食事の準備に時間がかかるといったペインを特定します。
  4. ゲインの特定
    • 顧客が得たい具体的なゲインを明確にします。
      これは、顧客が生活や仕事において求めている利益や価値を洗い出す作業です。
      例えば、通勤時間を短縮したい、健康的で手軽な食事を取りたいといったゲインを特定します。
  5. プロダクト&サービスの特定
    • 自社が提供する商品・製品・サービスをリストアップします。
      これには、顧客が求める価値を提供するための具体的な商品やサービスを特定します。
      例えば、効率的な交通手段や健康的な食事デリバリーサービスなどです。
  6. ペインリリーバーの特定
    • 顧客のペインを解消する方法を明確にします。
      これは、顧客が直面している問題を解決するための具体的な手段や機能を特定します。
      例えば、通勤時間を短縮するための新しい交通ルートの提供や、簡単に調理できる健康食品の提供などです。
  7. ゲイナーレイターの特定
    • 顧客のゲインを実現する方法を明確にします。
      これは、顧客が求める利益を実現するための具体的な手段や機能を特定します。
      例えば、交通手段の利用でポイントが貯まり、割引が受けられるサービスや、健康的な食事の提供による健康増進効果などです。

これらのステップを通じて、新商品開発でターゲットとなる顧客のニーズに的確に応えるバリュープロポジションを構築し、効果的なオペレーションを設計できます。バリュープロポジションキャンバスを活用することで、顧客の視点から自社の提供する価値を再評価し、マーケティング戦略や商品開発に反映させることが可能です。

手順③:新商品で狙う顧客ペルソナの定義を行う

顧客ペルソナを具体的に描写し、ターゲット顧客の行動やニーズを把握します。
ペルソナの作成手順とその重要性を具体例と共に説明します。

顧客ペルソナとは何か

顧客ペルソナは、特定の市場を構成する顧客群を表現するために作られた架空のキャラクターです。
このペルソナは

  1. 年齢
  2. 性別
  3. 職業
  4. 趣味
  5. 価値観
  6. 購買行動
  7. ライフスタイル
  8. 個々の問題点

など、その市場を代表する一般的な特徴を具体的に表現します。

顧客ペルソナを作成することで、企業は顧客のニーズや行動を具体的かつ詳細に理解し、新商品開発において効果的なマーケティング戦略やプロダクト開発を行うことができます。

顧客ペルソナの重要性

顧客ペルソナの作成は、企業が顧客をより深く理解し、そのニーズや行動に基づいて新商品開発を進めるための重要な手段です。

まず、顧客ペルソナを理解することで、顧客が何を求めているのか、どのような問題を抱えているのかを把握できます。これにより、新商品・新製品・新サービスの開発方向性を明確にし、顧客のニーズに応えるプロダクトを提供することができます。例えば、特定のペルソナが時間効率を重視する場合、そのニーズに応えるための機能を持つ商品を開発することが考えられます。

次に、顧客ペルソナはマーケティング戦略の作成にも役立ちます。ペルソナの行動傾向や購買プロセスを理解することで、どのようなメッセージが顧客に響くのか、どのチャネルでコミュニケーションを取るべきなのかを具体的に策定できます。例えば、若年層をターゲットにする場合、ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略が有効です。

さらに、顧客ペルソナは全社的な顧客理解の共有手段としても重要です。各部門が同じ顧客理解を共有することで、一貫したサービス提供やプロダクト開発が可能となり、組織全体の連携が強化されます。これにより、顧客対応の質が向上し、顧客満足度の向上に寄与します。

顧客ペルソナの作成方法

顧客ペルソナの作成は、以下のプロセスを通じて行われます。

  1. マーケットリサーチ
    • ペルソナ作成の最初のプロセスは、市場調査です。
      顧客、競合他社、業界のトレンドなどについて調査し、可能な限り多くの情報を集めます。
      これにより、市場全体の理解が深まり、ターゲット顧客の特徴を明確にすることができます。
  2. ターゲット顧客の特定
    • 次に、新商品・新製品・新サービスが解決する問題を把握し、その問題を抱える可能性があるターゲット顧客を特定します。
      これにより、具体的な顧客像を描きやすくなります。
  3. データ収集
    • ターゲット顧客に関する詳細なデータを収集します。
      これには、年齢、性別、職業、収入、趣味、行動傾向、価値観、ニーズ等が含まれます。
      データ収集方法としては、アンケート、インタビュー、フォーカスグループ、ソーシャルメディア分析などが有効です。
  4. ペルソナの作成
    • 収集したデータを基にペルソナを作成します。
      ペルソナには名前、写真、背景ストーリーを設定し、リアルなキャラクターとしてイメージできるようにします。
      これにより、チーム全体で具体的な顧客像を共有しやすくなります。

顧客ペルソナの活用例

顧客ペルソナの具体的な活用例として、「高品質オーガニックスキンケア製品」のペルソナを紹介します。

ペルソナイメージ
はなさん
  • 名前:はなさん
  • 住所:東京都中野区
  • 出身:長野県松本市
  • 学歴:東京にあるデザイン専門学校卒業
  • 年齢:32歳
  • 性別:女性
  • 職業:フリーランスのWebデザイナー
  • 収入:年収500万円
  • 趣味:ヨガ、料理、旅行
  • 特性:以前は中規模の会社の社内デザイナーだったが忙しさや社内の人間関係で心身のバランスを崩し休職退社。一度実家に戻り自分と向き合い、食事や化粧品などオーガニック製品に価値を見いだし、自分の肌に優しい製品を求めている。27才で再度上京。エシカルな製品を選ぶ傾向がある。

このペルソナを用いることで、マーケティングチームは「はなさん」がどのような価値観を持ち、どのような生活を送っているかを理解できます。例えば、オーガニックスキンケア製品のプロモーションを行う際には、「はなさん」が関心を持つ健康的でエシカルなライフスタイルに合わせたメッセージを発信します。また、製品のパッケージデザインやブランドストーリーも、はなさんの価値観や美的センスに合わせたものにすることで、より強い共感を得られる可能性が高まります。

手順④:新商品のカスタマージャーニーマップを作成する

顧客が新商品・新製品や新サービスをどのように利用するかを視覚化し、各接点でのニーズを明確にします。カスタマージャーニーマップの作成方法を紹介します。

以下の動画でも解説しておりますので、記事の内容と合わせてご確認ください。

カスタマジャーニーマップの重要性

カスタマージャーニーマップ(CJM)は、顧客が新商品・新製品・新サービスを利用する際の全体的な経験を視覚的に表現するツールです。これは顧客が初期認識から購入、さらにはその後の関与まで、新商品・新製品・新サービスとのすべての接点(タッチポイント)を通じて経験する旅路をマッピングします。特定の顧客ペルソナに焦点を当て、そのペルソナが目標を達成するまでの過程を詳細に描くことにより、企業は顧客の視点を深く理解することができます。

CJMを作成することで、企業は顧客の経験を細部まで把握し、新商品・新製品・新サービスのどの部分が強みであり、どの部分に改善の余地があるかを特定することが可能です。これにより、顧客満足度を高めるための戦略を効果的に立案することができます。例えば、顧客が購入ステージでどのような問題に直面しているのかを理解することで、チェックアウトプロセスの改善や支払いオプションの拡充など、具体的な対策を講じることができます。

さらに、CJMは部門間の連携を強化し、顧客中心の文化を育むのにも役立ちます。マーケティング、カスタマーサービス、商品開発など、各部門が同じ顧客経験の理解を共有することで、顧客に一貫性のあるサービスを提供することができるようになります。これにより、顧客のロイヤルティが向上し、企業全体の競争力が強化されます。

カスタマジャーニーマップの構成要素

カスタマージャーニーマップは、以下の主要な構成要素で構成されています。

  1. ステージ
    • 認知(Awareness)ステージ:この段階で顧客は自身の問題やニーズを認識し、それを解決するための新商品・新製品・新サービスを探し始めます。タッチポイントには広告、検索エンジン、ブログ記事、ソーシャルメディア、口コミなどが含まれます。
    • 検討(Consideration)ステージ:顧客は潜在的な解決策を比較・評価する段階です。タッチポイントにはウェブサイト、レビューサイト、店舗、商品説明、カスタマーサービスなどが含まれます。
    • 購入(Purchase)ステージ:顧客が新商品・新製品・新サービスを実際に購入する段階です。チェックアウトの簡易性、支払いオプション、デリバリーのオプションが重要です。タッチポイントにはオンラインチェックアウトプロセス、店舗レジ、カスタマーサービスなどがあります。
    • 使用(Use)ステージ:顧客が製品を活用し、その機能、性能、価値を評価する段階です。タッチポイントには製品自体、マニュアル、カスタマーサポートなどが含まれます。
    • ロイヤルティ(Loyalty)ステージ:顧客が製品に満足し、再購入や他人への推奨を行う段階です。タッチポイントにはメールマーケティング、ソーシャルメディア、リピート購入、口コミなどが含まれます。
  2. タッチポイント
    • タッチポイントは、顧客とビジネスが交差する全てのポイントを指します。ウェブサイトの訪問、製品の実際の活用、カスタマーサポートとの対話、ソーシャルメディア上のインタラクションなどが含まれます。これを理解することで、企業は顧客がどのようにブランドと相互作用しているか、そしてどのような経験を持つかを把握することができます。
  3. 顧客の行動
    • 顧客が各タッチポイントで具体的に何を行うかを言語化します。例えば、商品を検索する、レビューを読む、製品を購入する、サポートに問い合わせるなどの行動が含まれます。これを理解することで、企業は顧客がブランドとどのように相互作用しているのか、何を望んでいるのかを把握できます。
  4. 顧客の思考
    • 各タッチポイントで顧客が何を考えているか、または何が心にあるかを言語化します。これは新商品・新製品・新サービスについての意見や感じ方、ブランドに対する期待、懸念、疑問などを含みます。顧客の思考を理解することで、企業は顧客のニーズと願望をよりよく理解し、それに対応する方法を見つけることができます。
  5. 顧客の感情
    • 各タッチポイントで顧客がどのように感じているかを言語化します。これは新商品・新製品・新サービスの体験から生じる喜び、満足感、フラストレーション、困惑などの感情を含みます。感情的な経験は顧客のロイヤルティと満足度に大きな影響を及ぼすため、これらの感情を理解し管理することは非常に重要です。
  6. 顧客の課題
    • 新商品・新製品・新サービスの活用中に顧客が経験する困難や問題点を指します。これは、製品の使い方が複雑すぎる、必要な情報が見つからない、サポートが不十分である、価格が高すぎるなどの問題を含む可能性があります。課題設定を誤ると間違った対策を打つことになるので、しっかりした顧客の問題把握と課題設定が鍵です。
  7. 対策
    • 対策は、CJMが明らかにする改善の機会に対する企業の応答です。これらはサービスの改善、新しい機能や商品の開発、顧客サービスの強化など、さまざまな形で実現できます。対策は、顧客体験を改善し、顧客満足度とロイヤルティを高めるための重要な要素です。

カスタマージャーニーマップの作成方法

※ダウンロード後、すぐに編集できるPowerPointデータです。

カスタマージャーニーマップを作成するためには、まず顧客ペルソナを明確にし、そのペルソナが経験する全てのステージを特定する必要があります。各ステージごとに、タッチポイント、顧客の思考、行動、感情、課題、そしてそれに対する対策を詳細に記述します。

  1. 認知(Awareness)ステージ
    • この段階では、顧客が自身の問題やニーズを認識し、それを解決するための新商品・新製品・新サービスを探し始めます。タッチポイントには広告、検索エンジン、ブログ記事、ソーシャルメディア、口コミなどがあります。
  2. 検討(Consideration)ステージ
    • 顧客が潜在的な解決策を比較・評価する段階です。タッチポイントにはウェブサイト、レビューサイト、店舗、商品説明、カスタマーサービスなどが含まれます。
  3. 購入(Purchase)ステージ
    • 顧客が新商品・新製品・新サービスを実際に購入する段階です。チェックアウトの簡易性、支払いオプション、デリバリーのオプションが重要で、タッチポイントにはオンラインチェックアウトプロセス、店舗レジ、カスタマーサービスなどがあります。
  4. 使用(Use)ステージ
    • 顧客が製品を活用し、その機能、性能、価値を評価する段階です。タッチポイントには製品自体、マニュアル、カスタマーサポートなどがあります。
  5. ロイヤルティ(Loyalty)ステージ
    • 顧客が製品に満足し、再購入や他人への推奨を行う段階です。タッチポイントにはメールマーケティング、ソーシャルメディア、リピート購入、口コミなどがあります。

手順⑤:新商品が狙うペルソナへインタビューする

再度インタビューを行い、ペルソナの信憑性を検証します。具体的なインタビューのプロセスとポイントを解説し、成功事例を紹介します。

ペルソナへのインタビューの重要性

ペルソナへのインタビューは、顧客の深層的なニーズや新たな気づきを得るための重要な手段です。すでに設定された顧客ペルソナやカスタマージャーニーマップを基に、具体的で詳細な仮説が立てられています。しかし、これらの仮説が実際に正しいのかを確認するためには、さらに深いインタビューが必要です。インタビューを通じて得られた情報は、新商品開発の方向性が正しいか、またはピボットする必要があるかを検討する材料となります。

このプロセスにより、企業は顧客の本音や潜在的な問題点を把握し、提供価値を再評価することができます。例えば、ある製品が特定の問題を解決するために商品開発されたとしても、実際の顧客がその問題をどう感じているのか、解決策として受け入れられるかを確認することが不可欠です。これにより、企業は新商品・新製品・新サービスの改善点を具体的に把握し、顧客満足度を向上させるための戦略を立てることができます。

インタビューの準備

インタビューの成功は、事前準備にかかっています。まず、インタビューの目的を明確に設定することが重要です。新商品開発・新製品開発・新サービス開発のアイデアや顧客ニーズを明確に理解し、どのような情報を得たいのかを具体的にします。次に、顧客ペルソナに対する提供価値の仮説を設定します。これにより、仮説が正しいかどうかを検証する基盤ができます。

インタビューガイドの作成も重要です。これは、設定した目的と検証したい仮説に基づいて構築され、具体的な質問項目をリスト化します。さらに、インタビューの手段とスケジュールを計画し、選定した顧客に提案します。最後に、インタビューを実施するための具体的な準備を行います。これには、インタビューガイドの熟読、必要な機材やノートの準備、役割分担などが含まれます。

インタビューの流れ

インタビューは以下のステップで行います。

  1. 基本的な情報
    • 年齢、職業、住んでいる場所など、ペルソナの基本的な背景を理解します。パーソナルな質問に対するウソやはぐらかしにも注意します。
  2. ニーズと課題
    • ペルソナが抱える課題や問題、その対するニーズや欲求を理解します。質問の際には「なぜ」を避け、会話を広げるようにします。
  3. 行動パターン
    • 日常的な行動や嗜好、活用する商品やサービスについて聞き、行動パターンを理解します。こちらも会話を広げることが重要です。
  4. 新商品・新製品・新サービスに対する期待と仮説の検証
    • 新商品・新製品・新サービスが提供しようとしている価値やサービスに対する期待や希望を理解し、事前に立てた仮説が正しかったかを検証します。

インタビューのアウトプット

入力フォーマットはお手元のWordやメモ帳等問いません。
※本記事では新規事業開発プログラム「アウトレ」の新規事業開発アプリの画面を用いて説明しています。

インタビュー結果のアウトプット先は企業ごとに最適なツールを選択すれば良いですが、一例として

  1. Google ドキュメント
  2. notion
  3. Slack
  4. Craft
  5. Evernote
  6. Teams

などが挙げられます。

記載すべき項目は以下を参考にしつつ、自社に必要なヒアリング項目を組み立てみてください。

  1. ヒアリング実施日時
  2. ヒアリング対象の名称や氏名
  3. ヒアリングした内容を詳細に記載する

インタビュー後のレビュー

インタビュー後は、以下のポイントに焦点を当ててレビューを行います。

  1. 顧客理解の深化
    • インタビュー結果を元に顧客の理解を深め、その結果を新商品開発・新製品開発・新サービス開発の方向性決定や機能開発、マーケティング戦略に反映します。
  2. 提供価値の仮説改善
    • 顧客から得たフィードバックを基に、新商品・新製品・新サービスのアイデアや顧客と提供価値の仮説を見直し、改善します。
  3. ユーザーエクスペリエンスの設計
    • インタビューで得た知見を元に、顧客が求める経験を理解し、それを基にユーザーエクスペリエンスを設計します。カスタマージャーニーマップの修正点も共有します。

手順⑥:新商品開発で見据える市場規模を分析する

市場規模分析の重要性

市場規模分析は、企業が市場のポテンシャルを把握し、新商品の成長性や市場参入の可能性を評価するために不可欠です。まず、市場規模分析により、企業は特定の市場や業界の大きさや成長性を理解できます。これにより、新商品の成長潜力や市場参入の可能性を評価することが可能になります。例えば、新商品開発する際には、その製品が市場でどれだけのニーズがあるのかを予測することが重要です。

次に、市場規模分析は顧客のニーズや要求に関する洞察を提供します。これにより、企業は自社の新商品・新製品・新サービスがどのようなニーズを満たし、どのように競争力を持つのかを把握することができます。例えば、競合他社の製品と比較して自社製品がどのような点で優れているのか、または改善が必要なのかを理解することができます。

さらに、市場規模分析は社内や上席者への説明や納得を得るためにも重要です。具体的なデータや市場の魅力を示すことで、信頼性を高め、予算獲得や社内決済をスムーズに進めることができます。これにより、新商品開発戦略の立案や実行がより効果的に行えるようになります。

市場規模分析には以下の分析や調査が重要です。

STP分析

STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つの要素で構成されます。これにより、企業は市場を細分化し、最も魅力的なターゲット市場を選定し、その市場でどのように位置づけるかを決定します。

  1. セグメンテーション
    • 市場を地理的、人口統計的、心理的、行動的要素で分けるプロセスです。
      これにより、異なる特性を持つ顧客グループを特定し、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。BtoCとBtoBの違いも考慮する必要があります。
  2. ターゲティング
    • 各セグメントの中から、最も魅力的なターゲット市場を選定します。
      選定基準には、市場の規模、成長性、競争状況、収益性などが含まれます。
      これにより、企業はリソースを集中し、最も高いリターンを得ることができます。
  3. ポジショニング
    • 自社新商品・新製品・新サービスが市場でどのように認知され、競合他社とどのように差別化されるかを明確にします。
      ポジショニングマップを用いて、顧客が価値を感じる軸を定め、競合との位置関係を視覚化することで、戦略的な差別化を図ることができます。

市場のセグメンテーション

市場セグメンテーションは、以下の要素で構成されます。

  1. 地理的要素
    • 地域、国、都市など。これにより、地域ごとの特性やニーズを把握できます。
  2. 人口統計的要素
    • 年齢、性別、収入、教育レベルなど。これにより、顧客の基本的な属性を理解し、ターゲット層を絞り込むことができます。
  3. 心理的要素
    • 購買行動、ライフスタイル、価値観など。これにより、顧客の購買動機や行動パターンを理解できます。
  4. 行動的要素
    • 購買頻度、購買金額、製品の活用方法など。これにより、顧客の実際の行動を把握し、マーケティング戦略を最適化できます。
  5. 企業特性
    • 売上規模、従業員規模、所在地、業種など。BtoB市場では、企業の特性を考慮してセグメンテーションを行います。
  6. 購買行動
    • 対象部門、重視する部分、発注量、取引関係性など。これにより、企業の購買プロセスや意思決定要因を理解できます。

データ収集の方法

データ収集には、一次データと二次データの2種類があります。

  1. 一次データ
    • アンケート調査、インタビュー、観察などの手法を活用して、顧客の意見や行動、ニーズを直接収集します。例えば、製品の使用感や顧客満足度を調査するためにアンケートを実施します。
    • ウェブ解析ツールやソーシャルメディアモニタリングツールを活用して、オンライン上での顧客の行動や反応を収集し分析します。これにより、オンラインマーケティング戦略の効果を測定し、改善点を特定できます。
  2. 二次データ
    • 既存のデータソースや市場レポート、調査データなどを活用します。公開されている統計データ、業界レポート、競合情報などが含まれます。例えば、政府の統計データや業界団体の報告書を参照して市場規模や成長率を把握します。

市場規模の推定

市場規模の推定には、以下の方法があります

  1. トップダウン推定
    • 市場全体の規模をマクロなデータや統計情報を利用して推定する方法です。
      例えば、国内の総人口やGDP、関連する業界の売上高などを基に市場のシェアや成長率を考慮して市場規模を見積もります。大まかな視点で市場の全体像を把握するために活用されます。
  2. ボトムアップ推定
    • 個別のセグメントや顧客グループのデータを集計し、それらを基に市場規模を推定する方法です。
      具体的には、ターゲット顧客の人数や購買力、市場参入企業数などを調査し、それぞれのセグメントの市場規模を算出し、合算することで総合的な市場規模を見積もります。細分化された市場セグメントの詳細な規模を把握するために活用されます。
  3. パネルデータ分析
    • 特定の対象群(パネル)を長期間にわたって追跡し、データを収集する手法です。
      この手法は、市場規模の推定や予測において、個別の要素や指標の変動や相関関係を分析するために活用されます。パネルデータ分析により、市場の動向や特定の要素の影響力を明らかにすることができます。

市場規模の予測

市場規模の予測には、以下の方法があります。

  1. トレンド分析
    • 過去の市場データを基にして市場のトレンドを分析し、将来の傾向を予測します。
      例えば、過去の成長率や売上データから成長パターンを把握し、それを基に将来の市場規模を予測します。
  2. 時系列予測モデル
    • 統計的なモデルや予測手法を活用して将来の市場のニーズを予測します。
      時系列データや季節性の影響を考慮し、ニーズのパターンや周期性を分析し、予測モデルを構築します。
  3. シナリオ分析
    • 経済や市場の変動要因を考慮し、異なるシナリオに基づいて市場の予測を行います。
      例えば、市場の成長率や競合状況、新技術の導入などを考慮し、複数のシナリオに基づいてニーズの予測を行います。
  4. マーケット調査
    • 市場の状況や顧客のニーズ、競合状況などの情報を収集し、市場予測や戦略立案に役立てるために行われる調査活動です。

手順⑦:新商品の競合調査を行う

競合企業の強みや弱みを調査し、差別化ポイントを明確にします。競合調査の方法とその結果を活用する方法を紹介します。

競合調査の概要

競合調査は、市場に存在する同じ商品やサービスを提供している他の企業(競合企業)についての情報を収集・分析するプロセスです。競合調査を行うことで、企業は他社の新商品・新製品・新サービス、価格戦略、マーケティング戦略を把握し、市場全体の動向を理解することができます。市場の全体像を知ることで、自社のポジションを確認し、競争力を高めるための戦略を立てることができます。

例えば、競合他社がどのような価格設定をしているかを知ることで、自社製品の価格戦略を再評価することができます。また、競合他社のマーケティング手法を分析することで、自社のマーケティング戦略の改善点を見つけることができます。さらに、競合他社の強みや弱みを理解することで、自社のビジネス戦略を見直し、調整することが可能となります。

競合調査を通じて、他社の失敗例を学ぶことも重要です。他社の失敗を知ることで、同様の失敗を避けることができ、リスクを減少させることができます。このように、競合調査は市場の理解を深め、ビジネス戦略の策定に役立ち、リスクを回避するための重要な手段です。

競合調査の重要性

競合調査は、以下の理由から重要です

  1. 市場理解の深化
    • 競合他社の新商品・新製品・新サービス、価格戦略、マーケティング戦略を知ることで、市場全体の動向を把握することができます。これにより、市場のトレンドや消費者のニーズを理解し、自社の新商品・新製品・新サービスのポジションを確認することができます。
  2. ビジネス戦略の策定
    • 競合他社の強みや弱みを理解することで、自社のビジネス戦略を見直し、調整することができます。例えば、競合他社が特定の分野で成功している場合、その成功要因を分析し、自社の戦略に取り入れることができます。また、競合他社の失敗から学び、同じ過ちを避けることも重要です。
  3. リスクの回避
    • 他社の失敗例を学ぶことで、同様の失敗を避けることができます。競合調査を通じて、他社が直面した問題や課題を知ることで、自社が同じ状況に陥らないように対策を講じることができます。これにより、新商品開発のリスクを減少させることができます。

競合調査の手順

競合調査は以下の手順で行います

  1. 競合企業の特定
    • 新商品・新製品・新サービスと同じ市場で活動する主要な競合企業をリストアップします。
      例えば、新規にオンライン教育サービスを立ち上げる場合、既存のオンライン教育サービス提供企業を特定します。これにより、直接の競合を把握し、ターゲット市場における競争状況を理解します。
  2. 競合企業の戦略分析
    • 競合企業のマーケティング戦略、販売戦略、パートナーシップ戦略などを理解します。
      これにより、市場へのアプローチ方法を学び、自社の戦略に生かすことができます。例えば、競合企業がどのような広告手法を用いているか、どのような販売チャネルを活用しているかを分析します。
  3. 競合企業の製品・サービス分析
    • 各競合企業の新商品・新製品・新サービスの特徴、価格、ユーザーの評価などを分析します。
      例えば、オンライン教育サービスの場合、コースの内容、教材の質、費用、ユーザーレビューなどを調査します。これにより、自社の新商品・新製品・新サービスの強みと弱みを把握し、改善点を見つけることができます。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、競合企業と自社の製品・サービスの位置づけを視覚化するツールです。想定する顧客のニーズを軸に取り、その軸に沿って自社と競合企業を配置します。これにより、市場における自社の位置を明確にし、競合優位性を評価することができます。

例えば、高価格・高品質の製品を提供する企業と、低価格・低品質の製品を提供する企業が存在するとします。この場合、ポジショニングマップにおいて自社がどの位置にいるのかを確認することで、競合企業との差別化ポイントを明確にすることができます。これにより、自社の強みを活かし、競争力を高める戦略を立てることができます。

4P分析

4P分析は、競合他社の製品(Product)、価格(Price)、販売経路(Place)、宣伝・広告(Promotion)を分析する手法です。これにより、顧客と提供価値を事実ベースで理解し、競争戦略を立案します。

  1. Product(商品・サービス)
    • 競合他社の商品やサービスの特徴、品質、デザイン、パッケージ、ブランド、製品ラインなどを分析します。それらが顧客にどのような価値を提供しているのか、どのようなニーズを満たしているのかを理解します。
  2. Price(価格)
    • 競合他社の価格戦略を分析します。彼らがどのような価格設定を行い、それによりどのような顧客をターゲットにしているのかを理解します。また、価格競争力があるか、価格割引や特別な提供があるかも確認します。
  3. Place(販売経路)
    • 競合他社の商品・サービスがどこでどのように提供されているかを分析します。小売店、オンラインストア、直接販売など、どのチャネルを通じて商品・サービスを顧客に届けているのかを理解します。
  4. Promotion(宣伝・広告)
    • 競合他社がどのように商品・サービスをマーケティングしているかを分析します。広告、PR活動、販促活動、ソーシャルメディア戦略、イベントマーケティングなどの手段を理解します。

実例による理解

例えば、AppleとSamsungのスマートフォン市場における競合分析を行います。
AppleのiPhoneとSamsungのGalaxyを比較し、それぞれの製品特徴、価格設定、販売チャネル、プロモーション戦略を分析します。

  • Apple
    • 製品特徴:洗練されたデザイン、OSの内製化、Appleの別製品とのシームレスなUX。
    • 価格:高価格帯(57,800〜239,800円)。
    • 販売チャネル:Apple Store、家電量販店(Appleコーナー)、キャリア店舗。
    • プロモーション:ユーザーの活用する場面を想起させるPR。
  • Samsung
    • 製品特徴:幅広いラインナップ、Android OS、タッチペンの採用。
    • 価格:低〜高価格帯(21,560〜148,060円)。
    • 販売チャネル:Galaxyストア、家電量販店、キャリア店舗。
    • プロモーション:機能に訴求したPR。

このように、具体的な事例を基に競合分析を行うことで、自社の強みと弱みを明確にし、競争戦略を立案することができます。

競合調査のツール紹介

競合調査には以下のツールを活用します。

  1. ヒアリング・アンケート
    • スポットコンサルティングサービスやWebアンケートツールを利用して、顧客や業界専門家からのフィードバックを収集します。
  2. 調査ツール
    • SPEEDA、Google Trend、SimilarWebなどのツールを活用して、競合企業のデータを収集・分析します。これにより、市場の動向や競合の戦略を把握できます。
  3. ベンチマークテスト
    • 製造業では一般的に活用されるベンチマークテストを活用し、競合企業の製品・サービスと自社の製品・サービスを比較します。これにより、自社の改善点を特定し、競争力を高めることができます。

競合調査に関するより詳細な内容はこちらの記事をご確認ください。

フェーズ2:新商品開発におけるソリューション検証

手順①:新商品のMVPを開発する

最小限の機能を持つ製品(MVP)を開発し、迅速に市場投入します。MVP開発の手順と重要性を解説し、実際のMVP事例を紹介します。

MVPの概要について

MVP(Minimal Viable Product)は、最小限の機能や特徴を持った新商品・新製品・新サービスを素早く作成し、市場に投入することで、市場の反応やユーザーのニーズを把握することを目的とした試作品です。MVPの利点は、以下の通りです。

  1. 仮説の検証
    • MVPを用いることで、企業は自分たちの仮説が市場で通用するかどうかを早期に確認できます。
      顧客の反応をもとに仮説が正しいかどうかを判断し、必要に応じて軌道修正が可能です。
  2. コストの削減
    • 最小限の機能だけを実装することで、新商品開発コストを抑えつつ市場テストが可能です。
      大規模な新商品開発に進む前に市場の反応を得られるため、失敗のリスクを減少させることができます。
  3. 早期の市場投入
    • MVPは迅速に市場に投入されるため、競合他社に先んじて市場のシェアを獲得する機会を得られます。
      また、顧客からのフィードバックを基に素早く改良を重ねることができ、市場の変化に柔軟に対応できます。

従来の製造業では、試作品を作るために多額の予算をかけることが一般的ですが、新商品・新製品・新サービスの場合、顧客やその課題がまだ仮説レベルにあるため、MVPはさらに小規模でコストを抑えて作成されます。これにより、顧客が存在するかどうか、市場があるかどうかを早期に確認でき、無駄な投資を避けることができます。

MVPの作成に必要な手順

MVPを作成するための手順は以下の通りです。

  1. 顧客と顧客課題の明確化
    • 以前に作成したペルソナに基づき、顧客の課題を明確にします。
      どの課題を解決するための新商品・新製品・新サービスを作成するのかを特定し、それによってMVPの範囲や目的を明確にします。
  2. 仮説の設定
    • 顧客の課題に対して、どのような解決策があるのかを考え、仮説として設定します。
      この仮説をチームで共有し、MVPの方向性を決定します。
  3. MVPの定義
    • 必要最低限の機能を定義します。
      顧客が1円でもお金を払ってくれるような機能を持つ新商品・新製品・新サービスを目指します。
  4. 数値目標の設定
    • MVPの成功を評価するための定量的な指標を設定します。
      例えば、ユーザー数、収益目標などです。この数値目標により、仮説が正しかったかどうかを判断します。
  5. MVPの開発
    • 最小限の機能や特徴を持つ新商品・新製品・新サービスを開発します。
      これにはスケッチやモックアップなどが含まれます。
  6. MVPのフィードバックをもらう
    • 市場にMVPをリリースし、顧客からのフィードバックを収集します。
      設定したKPIをクリアしているかどうかを確認し、改善点を把握します。
  7. 次のアクションの設定
    • フィードバックを基に仮説の評価を行い、次のMVPの作成や改善を行います。
      数値目標を達成した場合、次のプロセスに進み、達成できなかった場合は原因を分析し、必要な改善を行います。

MVPの実例

フェイスシールドの実例では、以下のプロセスを通じてMVPを作成しました。

  1. 顧客ペルソナ
    • 中小規模の病院で、物資の支給が後回しにされているコロナ患者を受け入れていない病院。
  2. 顧客の課題
    • 飛沫感染を防ぐためのフェイスシールドが入手できないという問題。
  3. 仮説
    • 高い防御性能を持つフェイスシールドを提供することで、この課題を解決できるという仮説。
  4. MVPの定義
    • クッション性の保持とシールド部の完全な顔面保護を重視。
  5. KPI
    • 顧客の欲しいが8割以上になること。
  6. フィードバック
    • 取り回しが良く、熱がこもらず、締め付けが少ない長時間つけられるフェイスシールドが欲しいというフィードバックを収集。

失敗の原因としては、市場と顧客ニーズを正確に捉えることができなかった、MVPが使いにくいものであった、無駄に高機能なものを作ってしまったことなどが挙げられます。

MVPの実践上のTips

MVPを実践する際には、以下のツールや方法を活用します。

  1. アプリ開発
    • Appsheetなどのツールを活用して迅速にプロトタイプを作成します。
  2. Webサイト
    • Wixなどのツールを利用して簡単にWebサイトを構築し、ユーザーからのフィードバックを収集します。
  3. プロダクト開発
    • Fusion360などのツールを活用して、プロトタイプを設計・製作します。

これらのツールを活用することで、迅速かつ低コストでMVPを作成し、顧客からのフィードバックを基に新商品・新製品・新サービスを改善することができます。

手順②:新商品MVPのユーステストを実施する

実際の顧客にMVPを試用してもらい、フィードバックを収集します。ユーステストの実施方法とそのフィードバックの活用方法を紹介します。

MVPのユーザーテスト

MVP(Minimal Viable Product)を市場に投入する際、ユーザーテストは非常に重要なプロセスです。このテストの目的は、実際のユーザーにMVPを活用してもらい、直接のフィードバックを収集することです。これにより、MVPの有効性を評価し、改良点を特定します。ユーザーテストを通じて、仮説が正しいかどうかを検証し、市場投入前に必要な改善を行うことができます。具体的には、設定したKPIが達成されているかを確認し、ユーザーのニーズや期待に応えているかどうかを判断します。

MVPの目的

MVPのユーザーテストには三つの主要な目的があります。

  1. 市場の反応を知る
    • MVPを市場に投入することで、実際の市場反応を確認します。
      これにより、適切な市場が存在するか、仮説の顧客や課題が実在するか、提供価値の方向性が正しいかを評価します。例えば、LPサイトやSNSを活用してアクセスログを分析し、どのようなユーザーが関心を持っているのかを確認します。また、アンケート調査を実施し、大規模な市場調査を行うことも重要です​。
  2. ペルソナのニーズを深く知る
    • ペルソナの具体的なニーズや課題を深く理解するために、インタビューやユーザーテストを実施します。
      顧客が実際にMVPを活用する際の体験やフィードバックを収集し、新商品・新製品・新サービスの価値がどのように認識されているかを確認します。重要なのは、顧客が自分たちの新商品・新製品・新サービスの価値を共通認識として持てるようにすることです。図や資料、動画、実物のMVPを用いて情報を共有し、その後に顧客の使い勝手などをヒアリングします​。
  3. 顧客体験を深める
    • 顧客体験全体を意識し、MVPが顧客体験にどのような影響を与えるかを認識します。
      実際に顧客にMVPを活用してもらい、戸惑う部分や困難を感じる部分を観察します。また、類似製品との比較を行い、MVPの優位性や改善点を把握します。顧客体験をデザインし、さらに顧客の課題解決を行えるプロダクトにするためのヒントを得ます​。

市場の反応を知る

MVPを市場に投入する際には、市場の反応を知ることが重要です。具体的には、以下の方法を用います。

  1. LPサイトやSNSアカウント
    • 存在を知ってもらうだけでなく、アクセスログ分析を通じて、どのような検索ワードで検索されたのか、どの地域の人たちが見ているのか、属性はどんな人たちかを探ります。これにより、市場や顧客の具体的な情報を得ることができます。
  2. 大規模な市場調査
    • アンケート調査を実施し、幅広い市場からのフィードバックを収集します。
      これにより、仮説が正しいかどうか、提供価値が適切かどうかを評価します​​。

ペルソナのニーズを深く知る

ペルソナの具体的なニーズや課題を深く理解するためには、以下の方法を用います。

  1. 概念図
    • インタビューを通じてペルソナの具体的なニーズを把握します。
      これにより、顧客の期待と実際のニーズのギャップを埋めることができます。
  2. 稼働するMVP
    • 実際に動作するMVPを用いてユーザーテストを行います。
      これにより、顧客がどのように新商品・新製品・新サービスを活用するのかを直接観察し、改善点を特定します。
  3. フィードバックの収集
    • 図や資料、動画、実物のMVPを活用して顧客と情報を共有し、その後に顧客の使い勝手などをヒアリングします。これにより、顧客が新商品・新製品・新サービスの価値をどのように認識しているかを理解します​。

顧客体験を深める

顧客体験全体を意識し、MVPが顧客体験にどのような影響を与えるかを認識します。

  1. 実際に使ってもらう
    • 顧客に実際にMVPを活用してもらい、フィードバックを収集します。
      これにより、新商品・新製品・新サービスの実際の使用感やユーザー体験を理解します。
  2. 顧客の戸惑う部分を観察する
    • 顧客が活用中に戸惑う部分や困難を感じる部分を観察し、改善点を特定します。
      これにより、ユーザーエクスペリエンスの向上に繋がる具体的なアクションを見つけることができます​。
  3. 類似製品との比較
    • 類似製品があれば比較してもらい、MVPの優位性や改善点を把握します。
      これにより、競合製品との違いや優位性を明確にすることができます​。

手順③:新商品開発におけるビジネスモデルキャンパス作成

初期ビジネスモデルを構築し、仮説を検証します。
ビジネスモデルキャンパスの作成手順とその重要性を解説します。

ビジネスモデルキャンバスとは?

ビジネスモデルキャンバス(BMC)は、新商品開発の全体像を見渡すためのフレームワークです。特に新しいビジネスの計画を立てる際に有用で、ビジネスの構造や仕組みを視覚的に整理することで、戦略的な見直しや意思決定を容易にします。BMCは、アレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールが提唱したモデルで、ビジネスの重要な要素を9つのセクションに分けて整理します。これにより、各要素がどのように相互作用するかを理解しやすくなります。

ビジネスモデルキャンバスの9つの要素

ビジネスモデルキャンバスは以下の9つの要素で構成されています。

  1. 顧客セグメント(Customer Segments, CS)
    • 顧客は誰かを明確にします。
      ペルソナを描くことで顧客像が具体的になります。特にプラットフォームビジネスなどでは、顧客が複数パターン存在する場合があるため、それぞれのセグメントごとにキャンバスを作成することが推奨されます。
  2. 価値提案(Value Propositions, VP)
    • 顧客に提供する価値を定義します。
      顧客が求める価値を一言で言い切ることで、新商品開発の核となる部分を明確にします。これは顧客の問題を解決し、ニーズを満たすことを目指します。
  3. チャネル(Channels, CH)
    • 顧客に価値をどのように届けるかを定義します。
      ECサイト、実店舗、代理店販売、カタログギフト、テレビショッピング、ライブコマースなどの方法があります。適切なチャネルを選択することで、顧客に効果的にアプローチできます。
  4. 顧客との関係性(Customer Relationships, CR)
    • 顧客との関係が一過性のものか、リピートしてくれるものかを定義します。
      売上は客単価と客数(新規+リピーター)で構成されるため、顧客維持のための戦略が重要です。
  5. 収益の流れ(Revenue Streams, RS)
    • 収益がどのように発生するのかを明確にします。
      例えば、製品の販売、サブスクリプションモデル、ライセンス料などがあります。
      顧客がどのようにお金を支払うのかを理解することが重要です。
  6. 主要活動(Key Activities, KA)
    • ビジネスモデルの成功に不可欠なコア活動を定義します。
      これらの活動は、新商品の運営や価値提供に直結するものです。
  7. キーリソース(Key Resources, KR)
    • 価値を生み出すために必要なリソースを定義します。
      これには、人材、技術、資金、設備などが含まれます。
  8. キーパートナー(Key Partners, KP)
    • ビジネスの運営において重要なパートナーシップを定義します。
      自社でできないことを補完するためのパートナーを見つけることが重要です。
  9. コスト構造(Cost Structure, CS)
    • ビジネスを運営するために必要なコストを明確にします。
      固定費、変動費、運営費などが含まれます​。

バリュープロポジションキャンバス(VPC)

ビジネスモデルキャンバスを作成する前に、バリュープロポジションキャンバス(VPC)を作成します。VPCは、顧客に提供する価値を詳細に分析し、それをどのように届けるかを考えるためのツールです。具体的には、顧客のペインポイント(問題点)とゲイン(得られる利益)を明確にし、それに対応する価値提案を定義します。これにより、顧客が本当に求めている価値を具体化し、その価値を実現するための手段を明確にすることができます​。

ビジネスモデルキャンバスの作成手順

  1. 最初に行うべきこと
    • 顧客セグメント(CS)と価値提案(VP)を明確にすることから始めます。
      ペルソナやアーリーアダプターを具体的に描き出し、提供する価値を一言で定義します。
  2. チャネルの定義
    • 顧客に価値をどのように届けるかを決定します。
      ECサイト、実店舗、代理店販売など、最適なチャネルを選びます。
  3. 顧客との関係性の確立
    • 顧客との関係性を定義し、一過性のものかリピートするものかを決定します。
      これにより、顧客維持の戦略を明確にします。
  4. 収益モデルの設定
    • 収益がどのように発生するのかを明確にし、適切な収益モデルを選択します。
      これにより、ビジネスの収益性を確保します。
  5. 主要活動の特定
    • ビジネスモデルの成功に不可欠なコア活動を特定し、リソースを集中させます。
  6. キーリソースの確認
    • 価値を生み出すために必要なリソースを確認し、必要な資源を確保します。
  7. キーパートナーの選定
    • 自社でできないことを補完するためのパートナーを選定し、協力関係を築きます。
  8. コスト構造の分析
    • ビジネスを運営するために必要なコストを分析し、効率的なコスト管理を行います。

手順④:新商品のプロダクト価格を決定

価格戦略を立て、ターゲット市場に最適な価格を設定します。価格設定の方法とその影響を解説します。

プロダクト価格決定の重要性

プロダクトの価格設定は、企業の収益に直結する重要な決定事項です。適切な価格設定を行うことで、収益性を最大化し、市場での競争力を強化することができます。しかし、最適な価格を導き出すのは容易ではありません。価格設定は単に製品のコストに基づくものではなく、市場のニーズ、競合他社の価格、顧客が感じる価値など、多岐にわたる要因を考慮する必要があります。

価格設定の戦略は、企業の成功にとって重要な要素です。過度に高い価格は顧客の購買意欲を減退させ、一方で過度に低い価格は利益を圧迫し、長期的なビジネスの持続可能性を脅かす可能性があります。したがって、企業は慎重に価格を設定し、市場と顧客の反応を常に監視し、必要に応じて調整することが求められます。

価格を決める4つの方法

価格設定の方法には、以下の4つの手法があります。

  1. PSM分析(Price Sensitivity Meter)
  2. コスト積み上げ法
  3. 競争価格
  4. 売上目標からの逆算

1. PSM分析

PSM分析は、顧客がどの価格帯を受け入れるかを把握するための手法です。具体的には、以下の価格帯を調査します。

  1. 最高価格
    • これ以上高いと買わない価格
  2. 妥協価格
    • 妥協して買う価格
  3. 理想価格
    • 抵抗なく購入できる価格
  4. 最低品質保証価格
    • これ以上安いと品質に不安を感じて買わない価格

この分析を通じて、顧客が感じる適正価格帯を把握することができます。PSM分析は、価格が高すぎて顧客が離れるリスクや、価格が安すぎて利益が確保できないリスクを回避するために有効です。

2. コスト積み上げ法

コスト積み上げ法は、製造や提供に必要なコストを全て合計し、その上に適正な利益を乗せて価格を設定する方法です。
以下のコスト要素を考慮します。

  1. 材料費
  2. 労務費
  3. 機械の減価償却費
  4. 電気代
  5. 梱包副資材費
  6. 利益

この手法は製造業で一般的に活用され、コストベースで価格を設定するため、利益を確保しやすいのが特徴です。しかし、市場のニーズや競争状況を十分に考慮しないと、競争力を失うリスクがあります。

3. 競争価格

競争価格の設定は、競合他社の価格を基準に自社の価格を設定する方法です。市場での競争力を保つため、競合他社の製品価格と自社の製品価格を比較し、適正な価格を設定します。しかし、競合他社の製品だけが競合とは限りません。顧客が他にどのような選択肢を持っているかも考慮する必要があります。競争価格の設定は、市場の競争環境を理解し、それに適応するために重要です​。

4. 売上目標からの逆算

売上目標から逆算して価格を設定する方法もあります。この方法では、目標とする売上高を達成するために必要な顧客数と客単価を設定し、その目標に基づいて価格を設定します。例えば、レストランでの売上目標を達成するためには、以下のように設定します。

  1. 客席数:20席
  2. ランチ客数:1.5回転で30名
  3. ディナー客数:1.5回転で30名

このように、オペレーションの上限から客数を予測し、目標売上に基づいて客単価を設定します。これにより、目標達成に向けた具体的な価格設定が可能となります​。

フェーズ3:新商品・新製品・新サービスの検証を行う

手順①:CXデザイン

顧客体験(CX)を設計し、ユーザーの満足度を高めます。CXデザインの手法とその重要性を解説し、成功事例を紹介します。

CXデザインとは?

CX(Customer Experience)デザインとは、顧客が企業やブランドと接触するあらゆるタッチポイントでの体験を設計し、最適化するプロセスです。このデザインは、新商品・新製品・新サービスの活用だけでなく、実店舗、ウェブサイト、カスタマーサポートなど、顧客とブランドとの全てのやり取りを含みます。目的は、顧客のジャーニーの各段階でシームレスで快適な体験を提供することで、顧客ロイヤリティを高め、満足度を向上させ、ライフタイムバリュー(LTV)を最大化することです​。

CXデザインとUXデザインの違い

  • CXデザイン(Customer Experience Design)
    • 顧客と企業との全ての接点における体験の質を向上させることを目指します。具体的には、製品の活用、カスタマーサポート、店舗での体験、ウェブサイトのナビゲーション、購入プロセスなどが含まれます。CXデザインは広範な視点から顧客体験を改善することを目的としています。
  • UXデザイン(User Experience Design)
    • 主にプロダクトにおけるユーザーの体験の質を向上させることを目指します。対象は新商品・新製品・新サービス、ウェブサイト、アプリケーションの設計に限定されます。UXデザインは、プロダクトの使いやすさやユーザーインターフェースの最適化に焦点を当てています​​。

CXデザインのツールとフレームワーク

CXデザインを効果的に進めるために、以下のツールとフレームワークが活用されます。

  1. 調査・顧客理解
    • 顧客ペルソナ:ターゲット顧客のペルソナを設定し、具体的な顧客像を描きます。
    • カスタマージャーニーマップ:顧客の行動や感情を表にして見える化し、顧客がブランドとどのように関わるかを理解します。
  2. 分析・顧客具体化
    • ペインポイント:顧客が体験する障害や問題点を確認します。
    • 決定的瞬間(MOT:Moments of Truth):15秒以内で顧客にとって最高または最悪の体験となる瞬間を特定します。
  3. デザイン・適用
    • タッチポイントの見える化:各タッチポイントを視覚化し、顧客体験を向上させるための設計を行います。
    • サービスブループリント:各サービスの詳細を見える化し、プロセス全体を設計します。
  4. 効果計測・反復
    • フィードバックループ:顧客からのフィードバックをPDCA(Plan-Do-Check-Act)に落とし込み、継続的に改善します。
    • KPIの設定:顧客満足度を定量化するための指標を設定し、効果を測定します。
  5. エンゲージメント&ロイヤリティを育む
    • ロイヤリティプログラム:リワードプログラムや会員制などの特典を通じて、顧客のロイヤリティを高めます。
    • エンゲージメント・イニシアティブ:企業やブランドの社会的貢献活動などを通じて、顧客とのエンゲージメントを強化します。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、顧客がブランドとどのように関わるかを視覚化するツールです。
以下の要素を含みます。

  1. 認識:ブランドや製品に対する認知度。
  2. 検討:購入を検討する段階。
  3. 購入:実際に購入するプロセス。
  4. 使用:購入後の使用体験。
  5. ロイヤリティ:リピーターとしての関与度。

各タッチポイントでの思考、行動、感情、課題、対策を詳細に記述し、顧客体験の向上を図ります。これにより、顧客がどのようにブランドと関わるかを理解し、各段階での顧客体験を最適化するための具体的なアクションを特定します​。

サービスブループリント

サービスブループリントは、サービス提供のプロセスを詳細に見える化するツールです。具体的には、以下の要素を含みます。

  • 時間:サービス提供にかかる時間。
  • 物的証拠:サービス提供に関連する物的証拠(例:問い合わせフォーム、見積書、注文書)。
  • カスタマーアクション:顧客が行うアクション(例:問い合わせフォームで見積依頼を行う)。
  • フロントステージアクション:顧客と直接接するアクション(例:問い合わせフォームの回答)。
  • バックステージアクション:顧客が見えないところで行われるアクション(例:見積書の発行)。
  • サポートプロセス:サービス提供を支えるプロセス(例:オンライン見積書発行サービス)​

手順②:新商品開発におけるプロダクト要件定義

製品の詳細な要件を定義し、開発チームに共有します。要件定義の方法とその効果を説明します。

要件定義とは?

要件定義は、プロジェクトにおいて仕事を依頼する人と引き受ける人との間で合意する事項を明確にするプロセスです。このプロセスがしっかりと行われることで、プロジェクトの方向性がブレず、目的達成に向けて効率的に進めることができます。要件定義の目的は、プロジェクトの成功に向けて必要な機能や性能を明確にし、全ての関係者が共通の理解を持つことです。これにより、プロジェクトの進行中に発生する誤解やトラブルを最小限に抑えることができます。

要件定義の前に必要な要求定義

要件定義を行う前には、まず要求定義を行う必要があります。
要求定義は以下の三つの合致を確認することを目的とします。

  1. 顧客と提供価値の合致
    • 顧客のニーズに応じた価値を提供できるかを確認します。これは顧客が求めるものと企業が提供するものが一致しているかを評価します。
  2. 会社と新商品開発チームの方向性の合致
    • 会社全体の方向性と新商品開発チームの目指す方向が一致しているかを確認します。これにより、組織全体の戦略と新商品開発の戦略が整合性を持つようにします。
  3. 新商品開発チーム内での方向性の合致
    • チーム内のメンバーが同じ方向を目指しているかを確認します。これはプロジェクトの内部調整をスムーズにするために重要です。

要件定義のプロセス

要件定義は、システム開発プロジェクトの上流工程に位置します。
このプロセスには以下のステップがあります。

  1. 要求定義
    • 顧客のニーズやビジネス要件を明確にします。顧客からのヒアリングを通じて、彼らが何を求めているのか、どのような問題を解決したいのかを具体的に理解します。
  2. 要件定義
    • 要求定義に基づいてシステムやプロダクトの具体的な機能や性能要件を定義します。これには、システムが何を実行する必要があるか、どのような条件で動作するかを含みます。
  3. 基本設計
    • 要件定義に基づき、システムの全体構造を設計します。システムの主要なコンポーネントとその関係を定義します。
  4. 詳細設計
    • 基本設計を基に、システムの詳細な部分を設計します。具体的な技術仕様やデータベース設計などが含まれます。
  5. 開発・実装
    • 設計に基づいてシステムを構築します。プログラミングや構築作業を行います。
  6. 単体テスト
    • 個々のシステムコンポーネントをテストします。各コンポーネントが正しく動作するかを確認します。
  7. システムテスト
    • システム全体をテストします。システム全体が統合されて正しく動作するかを確認します。
  8. 運用テスト・受入テスト
    • システムを実際の運用環境でテストし、顧客が受け入れられるかを確認します。
      実際の使用条件下での動作確認を行います​。

要件定義の具体例:ファミリー客向けのチャーハン

  1. 要求定義の例
    • 顧客ニーズ:ファミリー客向けのチャーハンを提供したい。価格は1,300円で販売し、子供でも食べやすいように旨みが効いていて辛味やニンニクを控える。また、見栄えも良く、インスタ映えするものが求められる。
    • KPI:1日50杯以上売れること​。
    • 仕様要件:原価400円以下で作り、旨みを引き出して刺激物は控えめ、子供が好きな食材を使用する。見栄えの良い盛り付けをし、30分経っても美味しいチャーハンを提供する。

要件定義の重要性

  1. 発注者が責任者
    • プロジェクトの方向性や最終的な成果物に責任を持つのは発注者です。発注者が明確なビジョンと具体的な要求を持つことが重要です。これにより、プロジェクトがブレずに進行し、目標達成が確実になります。
  2. パートナー選び
    • 開発を依頼するパートナーを適切に選ぶことが重要です。パートナーのスキルやモチベーションを評価し、信頼できる外注先を選定します。これにより、プロジェクトの質を高めることができます。

仕事をお願いする上でのポイント

  • スキルとモチベーションの評価
    • 外注先のスキルとモチベーションを評価し、適切な業務を依頼します。モチベーションが高くスキルのある外注先には協業や業務提携を提案し、スキルがありながらモチベーションが低い場合には金銭的な関係での作業依頼を行います。
  • 管理工数の考慮
    • 外注先の管理工数も考慮し、効率的なプロジェクト運営を目指します。管理工数が多い外注先は、その管理にかかるリソースも考慮に入れる必要があります。

要件定義の本質

要件定義の本質は、仕事を依頼する人と引き受ける人との間での明確な合意を形成することです。これにより、プロジェクトの方向性が明確になり、円滑な進行が可能となります。要件定義はプロジェクト成功の鍵となる重要なプロセスであり、このプロセスがしっかりと行われることで、期待される成果物を確実に得ることができます

手順③:新商品のプロトタイプを用いたヒアリングを行う

プロトタイプを用いたヒアリングを行い、改善点を抽出します。プロトタイプヒアリングのプロセスとその活用方法を紹介します。

プロトタイプヒアリングとは?

プロトタイプヒアリングは、作成したプロトタイプを実際のユーザーやステークホルダーに活用してもらい、フィードバックを得るプロセスです。このプロセスを通じて、ユーザーの詳細なニーズや使い勝手を把握し、それをもとにプロトタイプを改善します。プロトタイプヒアリングは、新商品・新製品・新サービスの品質向上にとって非常に重要なプロセスです。

  1. ステップ1:プロトタイプの作成
    • 最初に、新商品・新製品・新サービスの基本的な機能を持ったプロトタイプを作成します。この段階では、完成品である必要はなく、基本的な使い方や機能をテストするためのもので十分です。プロトタイプは、ユーザーが実際にどのように商品や製品、サービスを活用するかをシミュレーションするためのツールとして活用されます。
  2. ステップ2:ユーザーの選定
    • 次に、プロトタイプを使用するユーザーやステークホルダーを選定します。これは、ターゲットとなる顧客層やビジネスパートナーなどが含まれます。選定されたユーザーは、新商品・新製品・新サービスの実際の消費者を代表するものである必要があります。これにより、フィードバックが実際の市場ニーズを反映するものとなります。
  3. ステップ3:ヒアリングの実施
    • プロトタイプをユーザーに使用してもらい、その際の使用感や問題点をヒアリングします。具体的な質問やアンケートを用いて、ユーザーの意見を収集します。このステップでは、ユーザーがどのように製品を使用するかを観察し、どの部分が使いやすく、どの部分に改善が必要かを特定します。
  4. ステップ4:フィードバックの分析
    • ヒアリングで得たフィードバックを分析し、プロトタイプのどの部分が効果的で、どの部分に改善が必要かを特定します。フィードバックの分析には、定量的なデータ(例:アンケート結果)と定性的なデータ(例:ユーザーのコメントや行動観察)が含まれます。これにより、製品の強みと弱みを明確にすることができます。
  5. ステップ5:プロトタイプの改良
    • フィードバックをもとにプロトタイプを改良し、より良い新商品・新製品・新サービスを目指します。このプロセスを繰り返すことで、製品の品質を高め、最終的なリリースに向けて準備を整えます。改良されたプロトタイプは、再度ユーザーにテストしてもらい、さらなるフィードバックを得ることが一般的です。

プロトタイプヒアリングで得られる効果

  • ユーザーの視点を取り入れる: 実際のユーザーから直接フィードバックを得ることで、新商品・新製品・新サービスが顧客の期待に応えるものになるよう調整が可能です。これにより、ユーザー満足度を高めることができます。
  • 早期の問題発見: 開発初期の段階で問題点を発見し、修正することで、後の開発工程での大幅な変更を防ぐことができます。これにより、開発コストを削減し、スケジュールの遅延を防ぐことができます。
  • ユーザーエンゲージメントの向上: ユーザーを開発プロセスに参加させることで、彼らの製品に対する愛着や満足度を高めることができます。ユーザーが自身の意見が反映されることを感じることで、製品に対する忠誠心が高まります。

プロトタイプヒアリングのプロセス

プロトタイプヒアリングは、作成したプロトタイプを実際のユーザーやステークホルダーに使用してもらい、フィードバックを得るプロセスです。このプロセスを通じて、ユーザーの詳細なニーズや使い勝手を把握し、それをもとにプロトタイプを改善します。以下に、各ステップについて詳細に解説します。

ステップ1:ヒアリングの計画

ヒアリングを効果的に行うためには、事前の計画が不可欠です。計画段階では以下の要素を明確にします。

  • 目的の定義: ヒアリングの目的を明確に定義します。例えば、特定の機能の使い勝手を評価する、全体的なユーザー体験を理解するなど、具体的な目標を設定します。
  • 対象者の定義: ヒアリングの対象者を明確にします。対象者はプロダクトの最終ユーザーや影響を受けるステークホルダーから選定します。これにより、実際の使用状況を反映したフィードバックを得ることができます。
  • 実施場所と期間の定義: ヒアリングを行う場所と期間を明確にします。実施場所はユーザーが自然にプロダクトを使用できる環境が望ましいです。期間は適切なフィードバックを収集できる時間を確保します。
  • 記録の残し方: ヒアリング中のデータ収集方法を決定します。出来る限り動画を撮影し、使用状況を記録に残します。これにより、後で詳細な分析を行うためのデータが確保できます。
ステップ2:対象者の選定

ヒアリング対象者の選定は、得られるフィードバックの質を左右します。

  • ユーザーの選定: プロダクトの最終的なユーザーや影響を受ける人々を選定します。これには、ターゲットとなる顧客層やビジネスパートナーなどが含まれます。選定されたユーザーは、新商品・新製品・新サービスの実際の消費者を代表するものである必要があります。
  • ステークホルダーの選定: ビジネスパートナーや関連部門のメンバーなど、プロダクトの影響を受けるステークホルダーも対象に含めることがあります。これにより、全体的なフィードバックが得られ、プロダクトの改善に役立てることができます。
ステップ3:フィードバックの収集

対象者にプロトタイプを使用してもらい、以下の方法でフィードバックを収集します。

  • プロトタイプの使用: 対象者にプロトタイプを使用してもらい、その際の反応や意見を収集します。インタビューやアンケートを実施し、ユーザーの具体的なフィードバックを得ます。
  • 観察: プロトタイプ使用中のユーザーの行動を観察します。どの部分で戸惑っているか、どの機能が使いやすいかなど、ユーザーの行動から得られる情報を記録します。
  • インタビュー: プロトタイプ使用後にユーザーに対してインタビューを行い、使用感や改善点について詳しく尋ねます。このプロセスでは、ユーザーがどのようにプロダクトを使用し、どのような課題に直面したかを深掘りします。
ステップ4:結果の分析

収集したフィードバックをもとに、以下のポイントを分析します。

  • 強みと弱点の特定: ソリューションの強みや弱点を明確にします。強みはそのまま維持し、弱点は改善点としてリストアップします。
  • 改善点の特定: フィードバックから具体的な改善点を特定します。ユーザーが困難を感じた部分や不満を持った機能を中心に、改善策を考えます。
  • 定量的分析と定性的分析: フィードバックを定量的に分析(例えば、アンケート結果の統計分析)し、定性的に分析(ユーザーのコメントや行動観察の内容)します。これにより、全体的な傾向と具体的な課題の両方を把握できます。
ステップ5:プロトタイプの修正

分析結果をもとにプロトタイプを修正します。

  • 具体的な改善: フィードバックをもとに、プロトタイプの具体的な部分を改良します。例えば、インターフェースの変更、機能の追加や削除などが含まれます。
  • 再ヒアリングの準備: 改良後のプロトタイプを再度ユーザーにテストしてもらい、さらなるフィードバックを収集します。このプロセスを繰り返すことで、プロトタイプの完成度を高めていきます。

手順④:新商品のバイヤーズジャーニー作成

顧客の購入プロセスを詳細に描写し、マーケティング戦略を最適化します。
バイヤーズジャーニーの作成手順とその重要性を解説します。

バイヤージャーニーとは?

バイヤージャーニーは、顧客が新商品・新製品・新サービスを購入する過程を理解し、最適な体験を提供するための概念です。この概念は、顧客の行動と意思決定の背後にある心理的な要因や要素を洞察することを重視しています。バイヤージャーニーを理解することで、企業は顧客にとって価値のある情報と体験を提供し、効果的なコミュニケーションと関与を実現できるようになります。

カスタマージャーニーとの違い

  • バイヤージャーニー
    • 主に新商品・新製品・新サービスの購入過程に焦点を当てた概念です。顧客が特定のニーズや課題を解決するために、新商品・新製品・新サービスを認識から購入までのプロセスを通じてどのように選択し、行動するかを捉えます。
  • カスタマージャーニー
    • 顧客が企業との関わりを通じて経験する全体のプロセスを捉える概念です。単に購買プロセスだけでなく、顧客がブランドや製品との関わりを持つあらゆるタッチポイントやエクスペリエンスを包括します。

バイヤーペルソナの作成

バイヤーペルソナは、以下の情報を基に作成されます

会社情報
  1. 業種:顧客が属する業界を把握することで、その業界特有のニーズやトレンドを理解します。
  2. 所在地:顧客の地理的な位置を知ることで、地域特有のニーズや市場環境を考慮できます。
  3. 売上規模:企業の年商を知ることで、どの程度の予算やリソースが利用可能かを見積もります。
  4. 従業員数:企業の規模を理解し、企業文化や意思決定プロセスに影響を与える要因を考慮します。
  5. 企業風土:企業の文化や価値観を知ることで、マーケティングメッセージのトーンやアプローチ方法を調整します。
バイヤー情報
  1. 部署、役職、上司、部下:顧客の職場での役割と関係性を理解し、意思決定にどのように関与するかを把握します。
  2. 年齢:顧客の年齢層を知ることで、ライフスタイルや購買行動の傾向を予測します。
  3. ミッション:顧客が達成しようとしている目標を理解し、その目標にどう貢献できるかを考えます。
  4. 業務内容:顧客の日常業務を把握し、どのような課題を抱えているかを明確にします。
  5. 購入における役割:顧客が購入決定にどのように関与するかを理解し、影響力のある人物を特定します。
  6. 購入の動機や課題:顧客が購入する理由と直面している課題を明確にし、それを解決する方法を考えます。
  7. 購入の際に重視するポイント:顧客が購入時に重視する要素(価格、品質、サポートなど)を把握します。
  8. 製品に対する理解度:顧客が製品についてどれだけ理解しているかを確認し、適切な情報提供を行います。
  9. 比較検討している競合製品:顧客が他に検討している製品を知ることで、競争環境を理解します。
  10. 情報収集方法:顧客が情報をどのように収集するか(専門サイト、展示会、SNSなど)を把握します。
  11. 情報収集形式:顧客が好む情報形式(動画、記事、対面形式など)を理解し、最適な情報提供方法を選択します

バイヤージャーニーのプロセス

バイヤージャーニーは以下のステップで構成されます

認知

顧客が新商品・新製品・新サービスの存在を知る段階です。
以下のポイントが重要です

  1. タッチポイント:Web広告やタクシー広告などを通じて新商品・新製品・新サービスの認知を広めます。
  2. 思考:顧客は新しい新商品・新製品・新サービスの存在を知り、興味を持ちます。
  3. 行動:顧客は情報を収集し始めます。
興味・関心

新商品・新製品・新サービスに対する興味が生まれ、詳細を知りたいという関心が高まります。

  1. タッチポイント:比較検討できる資料や解説動画が有効です。
  2. 思考:顧客は新商品・新製品・新サービスの利点や価値について考えます。
  3. 行動:顧客はさらに情報を探し、比較資料をダウンロードするなどの行動をとります。
理解

顧客が新商品・新製品・新サービスについて詳しく理解する段階です。

  1. タッチポイント:詳細な解説記事や動画が役立ちます。
  2. 思考:顧客は新商品・新製品・新サービスの詳細な機能やメリットを理解します。
  3. 行動:顧客はデモをリクエストしたり、サポートに問い合わせを行います。
比較・検討

顧客が複数の選択肢を比較し、最適な新商品・新製品・新サービスを選ぶ段階です。

  1. タッチポイント:競合製品との比較情報やLP(ランディングページ)が重要です。
  2. 思考:顧客は自分のニーズに最も適した選択肢を比較検討します。
  3. 行動:顧客は評価やレビューを読み、最終的な判断材料を集めます。
購入

最終的に新商品・新製品・新サービスを購入する段階です。

  1. タッチポイント:ECサイトなど、簡単に購入できるプラットフォームが求められます。
  2. 思考:顧客は購入を確定し、支払い方法などを確認します。
  3. 行動:顧客は購入手続きを完了します。

バイヤージャーニーマップ

バイヤージャーニーマップは、顧客の購買プロセスを視覚化したもので、以下の要素が含まれます
認識、興味・関心、理解、比較検討、購入の各ステージ

  1. タッチポイント:各ステージで顧客が接触するポイントを言語化します。
    例:Web広告、LP(ランディングページ)、解説動画、ECサイトなど。
  2. 思考:各ステージで顧客が何を考えているかを言語化します。
    例:製品の利便性、他の選択肢との比較など。
  3. 行動:各ステージで顧客がどのような行動をとるかを言語化します。
    例:情報収集、資料ダウンロード、デモリクエスト、購入手続きなど。
  4. 感情:各ステージで顧客がどのように感じているかを言語化します。
    例:興奮、疑問、不安、期待など。
  5. 課題:各ステージで顧客が直面する課題を言語化します。
    例:情報不足、選択肢の多さ、価格の妥当性など。
  6. 対策:課題に対する具体的な対策を言語化します。
    例:詳細なFAQ、比較チャートの提供、特典付きキャンペーンなど。

手順⑤:新商品の事業計画書を作成する

新商品に基づいた事業計画書を作成し、次のプロセスに備えます。
事業計画書の作成方法とその活用方法を紹介します。
事業計画書を作成するためには、以下の要素を明確に記述することが重要です。

事業計画書の作成に必要な要素

  1. サービス名はわかりやすいか?
    • まず、サービス名がわかりやすく、覚えやすいかを確認しましょう。
      サービス名はブランドの顔となるため、一目でどのようなサービスかを想像できる名前が望ましいです。
      簡潔で直感的な名前が理想です。
  2. 誰の何の課題を解決するものなのか?
    • 次に、ターゲット顧客とその課題を明確に定義します。
      具体的には、誰(ターゲット顧客)が、どのような課題に直面しているのかを詳細に記述します。
      これにより、ビジネスの焦点を明確にし、関係者にその重要性を理解してもらいます。
  3. どの市場に参入するのか?
    • 参入する市場を明確にします。
      市場の特性、ターゲット市場のセグメント、地理的範囲などを詳細に記述し、
      自社のビジネスがどの市場で活動するのかを明確にします。
  4. どんな競合がいるのか?
    • 競合他社をリストアップし、競合分析を行います。
      競合他社の強みと弱み、自社との違いを明確にし、自社のポジショニングを明確にします。
      競合環境を理解することで、戦略を立てやすくなります。
  5. 狙う市場の大きさは?
    • 狙う市場の規模を定量的に言語化します。
      市場の大きさ、成長率、潜在的な顧客数などを明確にし、市場機会の大きさを言語化します。
      これにより、ビジネスの成長ポテンシャルをアピールできます。
  6. どのようにしてその市場に入っていくのか?
    • 市場参入戦略を具体的に説明します。
      マーケティング戦略、販売戦略、パートナーシップ戦略など、
      市場にどのようにして入っていくのかを明確にします。
      実行可能な計画を言語化することで、信頼性を高めます。
  7. 何を提供するのか、わかりやすく表現できるか?
    • 提供する新商品・新製品・新サービスの内容をわかりやすく表現します。
      特徴や利点を簡潔に説明し、顧客に対する価値を明確に伝えます。
      複雑な内容は図やグラフを使って視覚的に説明するのも効果的です。
  8. 顧客からどのようにお金をもらうのか?
    • 収益モデルを明確に説明します。
      新商品・新製品・新サービスの価格設定、支払い方法、
      収益を得る方法(例えば、サブスクリプションモデル、販売、ライセンスなど)を具体的に記述します。
  9. 顧客をどう獲得していくか?
    • 顧客獲得戦略を説明します。
      マーケティング手法、広告戦略、プロモーション活動、見込み客の発掘方法など、
      顧客をどのようにして獲得していくかを具体的に言語化します。
  10. 長期的にどのように成長していくか?
    • 長期的な成長戦略を明確にします。
      市場拡大計画、新製品の開発、国際展開、提携戦略など、長期的な視点での成長計画を具体的に記述します。
  11. 競合と何が違うのか?
    • 自社と競合他社の違いを明確にします。
      差別化要因、独自の強み、特許や技術優位性など、競合他社との差別化ポイントを言語化し、
      自社の競争優位性をアピールします。
  12. 他のプロダクトと比べたときの優位性はなにか?
    • 他のプロダクトと比べた際の優位性を具体的に説明します。
      性能、価格、品質、利便性、顧客サポートなど、他社製品と比較して優れている点を明確にします。
  13. 顧客がなぜそのプロダクトを欲しがっているのか?
    • 顧客の視点から見たプロダクトの魅力を説明します。
      顧客がそのプロダクトを欲しがる理由、ニーズにどのように応えているかを具体的に言語化します。
      顧客の声や事例を使って具体性を持たせることも効果的です。
  14. 実現するのにいくらリソースが必要か?
    • プロジェクトの実現に必要なリソースを明確にします。
      資金、人材、技術、設備など、プロジェクトの実行に必要なリソースを具体的に言語化し、
      それぞれのコストを見積もります。
  15. 実現した場合いくら儲かるのか?
    • プロジェクトが成功した場合の収益予測を言語化します。
      売上予測、利益予測、ROI(投資利益率)などを具体的に記述し、投資家に対して投資の魅力をアピールします。

これらの要素を使い、事業計画書を作成することは、

  1. 明確で一貫性のあるメッセージ
  2. ターゲット市場の明確化
  3. 差別化ポイントの提示
  4. 実行可能な戦略の提示
  5. 財務見通しの確立
  6. 投資家への説得力の向上
  7. 内部チームの共通理解の促進

など、多くの観点から重要です。

フェーズ4:新商品開発における市場価値検証

手順①:新商品の初期顧客レポートを作成する

初期顧客の使用状況やフィードバックをまとめ、レポートを作成します。初期顧客レポートの作成方法とその活用方法を紹介します。

初期顧客の属性

初期顧客の属性を理解することは、ターゲット市場を明確にし、マーケティング戦略を洗練するための第一歩です。初期顧客の属性には以下の要素が含まれます。

  1. 業種や業界
    • 顧客が属する業種や業界を把握することで、特定の市場ニーズやトレンドを理解しやすくなります。例えば、IT業界の顧客は最新技術への関心が高い一方、製造業の顧客は生産性向上に関心があるかもしれません。
  2. 規模(従業員数、年商など)
    • 企業の規模を理解することで、どの程度のリソースや予算が利用可能かを見積もることができます。小規模企業と大規模企業では、ニーズや意思決定プロセスが異なるため、アプローチ方法を変える必要があります。
  3. 地域や所在地
    • 顧客の地理的な位置は、物流、サポート、マーケティング戦略に影響を与えます。特定の地域に集中している場合、その地域特有のニーズや競争状況を考慮する必要があります。
  4. 顧客のニーズや課題
    • 顧客が直面している具体的な課題やニーズを把握することで、提供する新商品・新製品・新サービスがどのように問題を解決するかを明確に言語化することができます。例えば、時間の節約を求める顧客に対しては、効率化ツールの提供が有効です。
  5. 初期顧客ペルソナとの相違
    • 実際の顧客が当初想定したペルソナとどの程度一致しているかを評価します。ペルソナとの違いを理解することで、マーケティング戦略の見直しや製品改良に役立てることができます。

販売実績

販売実績は、新商品開発の健全性と成長性を示す重要な指標です。以下の要素を評価します。

  1. 売上高
    • 一定期間における総売上を示します。売上高は新商品の規模と市場のニーズを反映します。
  2. 売上成長率
    • 売上がどの程度の割合で増加しているかを示します。成長率は、新商品がどれだけ迅速に拡大しているかを評価するために重要です。
  3. 利益率
    • 売上に対する利益の割合を示します。高い利益率は、コスト管理がうまくいっていることや高い価値を提供できていることを示唆します。
  4. 平均取引価格
    • 1件当たりの平均取引額を示します。取引価格が高いほど、顧客が新商品・新製品・新サービスに対して高い価値を感じていることを示します。

これらの指標を詳細に分析することで、ビジネスのパフォーマンスを客観的に評価し、必要な戦略調整を行うことができます。

顧客獲得コスト (CAC)

顧客獲得コストは、新規顧客を獲得するためにかかった総費用を顧客数で割ったものです。以下の要素が含まれます。

  1. マーケティング費用
    • 広告、プロモーション、コンテンツ制作など、マーケティング活動にかかる費用を含みます。
      これにはオンライン広告、展示会参加費用などが含まれます。
  2. 営業費用
    • 営業チームの人件費、営業ツール、営業活動に関連する交通費などが含まれます。
      営業プロセスの効率化やリードの質の向上が、営業費用の最適化に寄与します。
  3. その他の顧客獲得に関連する費用
    • CRMシステムの導入費用、マーケティングオートメーションツールの利用費など、顧客獲得に間接的に関連する費用も含まれます。

CACを低く抑えることは、企業の収益性を高めるために重要です。CACが高すぎる場合、マーケティングと営業活動の効率化が必要です。

生涯顧客価値 (LTV)

生涯顧客価値は、顧客が企業に対して生涯にわたりもたらす収益を示します。
以下の要素を含みます。

  1. 顧客一人当たりの平均購入回数
    • 顧客が平均して何回購入するかを示します。
      リピート率が高いほど、顧客のロイヤリティが高いことを示します。
  2. 平均購入額
    • 1回の購入当たりの平均金額を示します。
      高い平均購入額は、顧客が新商品・新製品・新サービスに対して高い価値を感じていることを示します。
  3. 平均継続期間
    • 顧客がどの程度の期間にわたり企業と取引を続けるかを示します。
      長い継続期間は、顧客が企業に対して強い信頼と満足を感じていることを示します。

LTVを高めることは、企業の長期的な成長と安定に寄与します。LTVが高い場合、顧客獲得にかかる初期費用を回収し、長期的な利益を確保することができます。

顧客満足度・ロイヤルティ

顧客満足度とロイヤルティは、顧客が新商品・新製品・新サービスに対してどれだけ満足し、再購入の意志があるかを示す指標です。
以下の要素を評価します。

  1. NPS(Net Promoter Score)
    • 顧客がどの程度他人に企業や製品を薦めたいかを測定する指標です。NPSが高いほど、顧客の満足度とロイヤルティが高いことを示します。
  2. リピート率
    • 顧客が再度購入する割合を示します。リピート率が高いほど、顧客の満足度とロイヤリティが高いことを示します。
  3. チャーン率(顧客の離脱率)
    • 一定期間内に顧客が離脱する割合を示します。チャーン率が低いほど、顧客の満足度とロイヤリティが高いことを示します。

これらの指標を用いて顧客満足度とロイヤルティを評価し、必要な改善策を講じることで、長期的な顧客関係を構築することができます。

競合分析

競合分析は、自社のポジションを理解し、競争優位性を築くために不可欠です。以下の要素を評価します:

  1. 顧客が比較検討した競合
    • 顧客が自社製品を選ぶ際に比較検討した競合企業や製品を特定します。
      これにより、競合環境を理解しやすくなります。
  2. 顧客が感じる競合との差別化ポイント
    • 顧客が自社製品を選んだ理由や、競合製品との差別化ポイントを明確にします。
      これにより、競合他社との差別化戦略を強化できます。

競合分析を通じて、競争優位性を明確にし、戦略的なアプローチを強化することが可能です。

フィードバックと改善策

顧客からのフィードバックは、新商品・新製品・新サービスの改善に役立ちます。以下の要素を含みます:

  1. 顧客からのフィードバックや要望:
    • 顧客が新商品・新製品・新サービスに対して持っている意見や要望を収集します。
      これには、使いやすさ、機能の追加、品質の向上などが含まれます。
  2. 改善策や今後の展開予定:
    • 顧客のフィードバックに基づいた具体的な改善策を計画し、今後の商品開発やサービス向上の方針を示します。

顧客の声を反映した改善策を実施することで、顧客満足度を向上させ、新商品・新製品・新サービスの競争力を高めることができます。

ビジネスモデルの持続性

ビジネスモデルの持続性を評価することで、新商品開発のスケーラビリティと長期的な成功を確保します。以下の要素を評価します。

  1. 今回の初期顧客はまぐれなのか?
    • 初期顧客の獲得が一時的な成功か、それとも持続可能なパターンかを評価します。
      持続的な顧客獲得戦略を持っていることが重要です。
  2. 新商品のスケーラビリティは?
    • 新商品が拡大可能かどうかを評価します。
      市場拡大の余地や、追加のリソース投入が必要かどうかを確認します。

ビジネスモデルの持続性を確保することで、長期的な成長と安定を実現するための戦略を策定できます。

リスクと対策

新商品開発に関連するリスク要因とそれに対する対策を明確にすることは、新商品開発の安定性を確保するために重要です。
以下の要素を評価します。

  1. 新商品開発に関連するリスク要因
    • 市場変動、競合の動向、技術的な課題、規制の変更など、新商品開発に影響を与える可能性のあるリスクを特定します。
  2. リスクに対する対策
    • 特定したリスクに対する具体的な対策を計画します。
      例えば、技術的なリスクに対してはバックアップシステムの導入、
      競合のリスクに対しては差別化戦略の強化などが含まれます。

リスク管理を徹底することで、予期せぬトラブルに対処し、新商品開発の安定性を維持することができます。

手順②:新商品が狙う顧客ペルソナを再設定する

フィードバックに基づき、顧客ペルソナを再設定します。再設定の手順とその重要性を解説し、成功事例を紹介します。

顧客ペルソナの再設定

顧客ペルソナの再設定は、ビジネスの成長と成功にとって極めて重要です。初期段階で作成したペルソナが実際に通用するかを評価し、必要に応じて調整することで、より正確なターゲティングとマーケティング戦略の策定が可能となります。

初期顧客レポートに基づく評価

まず、フェーズ1で作成した初期顧客レポートに基づいて、実際にどんな属性の顧客が初期顧客となったかを評価します。以下の項目に着目します。

  1. 基本情報
    • 初期顧客の年齢、性別、職業、収入、家族構成などを確認し、当初設定したペルソナとの一致度を評価します。
  2. 消費行動
    • 初期顧客がどのように新商品・新製品・新サービスを活用しているか、どのチャネルを通じて購入しているかなどを確認します。これにより、消費行動のパターンを把握します。
  3. ライフスタイル
    • 初期顧客の趣味・娯楽、価値観、目標、休日の過ごし方など、日常生活の様々な側面を理解します。
      これにより、顧客のライフスタイルと製品・サービスの適合性を評価します。

ペルソナの変化の確認

初期顧客レポートに基づき、当初設定したペルソナと実際の顧客との間にどのような違いがあるかを確認します。これにより、ペルソナの調整が必要かどうかを判断します。

  1. イメージ上のペルソナと実際のペルソナの比較
    • 当初設定したペルソナがどの程度実際の顧客と一致しているかを評価します。特に重要な属性や行動パターンに差異がある場合は、ペルソナの修正が必要です。
  2. 必要な調整
    • ペルソナの基本情報、消費行動、ライフスタイルなどの項目を再評価し、実際の顧客データに基づいて調整します。これにより、より正確なターゲティングが可能となります。

顧客ペルソナの具体的な設定項目

顧客ペルソナを詳細に設定するためには、以下の項目を具体的に定義します。

  1. 基本情報
    • 架空の名前、年齢、性別、職業、収入、可処分所得、可処分時間、家族構成、日常のルーティーンなど。
  2. 消費行動
    • 購買頻度、購入チャネル(オンライン、オフライン等)、ブランド選択の動機、口コミの影響度、好きなエリア、好きなブランド、好きなショップなど。
  3. ライフスタイル
    • 趣味・娯楽、購買動機、価値観、目標、食生活の嗜好(健康志向、外食頻度など)、休日の過ごし方、旅行や外出の好み(国内、海外、アクティブ、リラックスなど)、スポーツや運動の頻度・種類、活用するテクノロジー(スマホ、PC、ウェアラブルデバイスなど)、好きな音楽・映画・書籍のジャンル、環境や社会問題に対する意識・取り組み、ファッションやビューティーに対する興味・嗜好、交友関係やコミュニティへの参加度、住居のタイプ・状況(一戸建て、マンション、賃貸など)、教育や継続学習への取り組み・意識、ペットの有無・種類。
  4. コミュニケーション
    • 活用するSNS、情報収集の手段(雑誌、テレビ、ブログなど)。
  5. 課題・痛み点
    • 特定の商品・サービスに求めること、解決したい問題、漠然とした悩み。
  6. その他
    • ペルソナに関する特記事項やストーリーを設定し、ペルソナの人物像を具体的にします。

手順③:新商品のブランディング

ブランディングは、新商品開発・新製品開発・新サービス開発を成功に導くための重要な要素です。ブランドとは、見聞きした瞬間に頭に浮かぶ独自のイメージであり、その価値は企業ではなくユーザーが決めるものです。ブランディングは、この独自イメージを確立し、顧客にとっての価値を最大化するための全般的な活動を指します。

ブランドに関する誤解と正しい理解

ブランドにはいくつかの誤解が存在しますが、以下のように正しく理解することが重要です。

  1. 誤解1:「ブランド」とは高級品のこと。
    • 正しい理解:高級ブランドもブランドですが、価格帯や業態を問わず、あらゆるものがブランドになります。
  2. 誤解2:「ブランド」とはロゴやデザインのこと。
    • 正しい理解:ロゴやデザインはブランドコア(思想やコンセプト)の象徴に過ぎず、思想の方が大切です。
  3. 誤解3:「ブランド」とは単なるイメージのこと。
    • 正しい理解:イメージは大々的なプロモーションで獲得されることもありますが、地道な取り組みの積み重ねで生まれます。

ブランドとブランディングの違い

ブランドの価値は企業ではなく、ユーザーが決めます。ブランディングは、ブランドの独自イメージを確立していく全般の活動を指し、顧客体験全体で差別化を図ることが求められます。特に、商品やサービスがコモディティ化する中で、心理的・感情的な価値をどれだけ上乗せできるかが重要です。

ブランドのレイヤー

ブランドは複数のレイヤーに分かれます。

  1. グループブランド:企業グループ全体のブランド(例:ファーストリテイリング)。
  2. コーポレートブランド:企業自体のブランド(例:ユニクロ)。
  3. 事業ブランド:特定の新商品や事業部のブランド(例:GU)。
  4. カテゴリーブランド:特定のカテゴリーに属するブランド(例:Uniqlo U)。
  5. プロダクトブランド:新商品・新製品・新サービスのブランド(例:エアリズム、ヒートテック)。

ブランディングの基本プロセス

ブランディングの確立プロセスは以下の段階で構成されます。

  1. 現状理解
    • 自社の理解と顧客の理解を深め、現状を把握します。内部インタビューやアンケート、外部環境分析(PEST、SWOT、3C分析)を通じて現状を把握します。
  2. プロジェクト設計
    • ブランディング・プロジェクトの目的とゴールを明確にし、プロセス(期間、体制、プロセス)を設計します。
  3. ブランドコアの定義
    • ブランドコアは、新商品の「想い」とユーザーにとっての「ベネフィット」から成り立ちます。ワークショップやアンケートを通じて、ブランドコアを明確にします。
  4. 具体化と実行
    • ブランドガイドラインの作成、デザインシステムの構築、内部スタッフへのブランディング教育などを行い、ブランドを具体化し実行します。
  5. 効果検証と改善
    • ブランド認知度、独自性、満足度などを測定し、ユーザーアンケートやインタビューを通じてブランドの課題を抽出し、改善を行います。

ブランドガイドライン

ブランドガイドラインは、ブランドの一貫性を保つために重要なドキュメントです。以下の要素を含みます。

  1. ブランド定義
    • ブランドコンセプト、ブランドの由来、ブランドパーソナリティ、世界観、ブランドプロミス、ブランド連想など。
  2. ヴィジュアルアイデンティティ(VI)
    • ロゴ、シンボル、ブランドカラー、キーグラフィック、写真表現、アプリケーションデザイン(印刷物、販促物、広告、WEB、空間など)。

インナーブランディングとアウターブランディング

インナーブランディング: 内部スタッフがブランドを理解し、同じ想いで振る舞えるようにすることが重要です。
知る・理解する・行動する・評価するというプロセスを踏むことで、スタッフ全員がブランドの一員として行動できるようになります。

アウターブランディング: ブランドコアをカスタマージャーニーマップに落とし込み、外部へのブランディング活動を展開します。ウェブサイト、SNS、広告、キャンペーン、報道、口コミ、製品、サービス、アフターサービス、イベントなど、多岐にわたるタッチポイントでブランドを一貫して伝えます。

効果検証と改善

ブランディングの効果を検証し、必要に応じて改善することが重要です。以下のポイントで効果を測定します。

  1. ブランド認知度の測定
    • ブランド助成想起率、ブランド純粋想起率。
  2. ブランドの独自性を測定
    • ブランド第一想起率、ブランド支配想起率、ブランド連想。
  3. ブランドの満足度を測定
    • 満足度、再利用意向、NPS。
  4. ブランドの課題抽出
    • ユーザアンケート、インタビューなど。

手順④:新商品のプロダクト詳細

このセクションでは、プロダクトの詳細について解説します。
プロダクトの収益性、運営可能性、リスクと対策、提供価値、バリューチェーンの説明に関する要素を詳細に評価し、成功の可能性を高めるための情報を提供します。

収益性の確認

プロダクトの販売許可を得るためには、まずその収益性を確認する必要があります。
以下の要素が収益性の評価に含まれます。

  1. 売上予測と利益率
    • プロダクトがどれだけの売上を見込めるか、また、その売上に対する利益率を評価します。売上予測は市場調査や過去のデータに基づいて行われ、利益率はコスト構造と価格設定によって決まります。
  2. 投資利益率(ROI)
    • 投資利益率(Return on Investment)は、初期投資をどれだけの期間で回収できるかを示す指標です。ROIは、投資の収益性を評価するために重要な要素であり、短期間で高いROIが見込めるプロダクトは収益性が高いと判断されます。例えば、初期投資が100万円で年間利益が50万円の場合、ROIは2年となります。

運営可能性

プロダクトを自社で運営できるかを確認することも重要です。
運営可能性の評価には以下の要素が含まれます。

  1. サプライチェーンの確立
    • 必要な資材や部品の供給が確保されているか、物流体制が整っているかを確認します。サプライチェーンの安定性はプロダクトの生産と供給に直接影響を与えます。
  2. 運営の具体的計画
    • いつ、誰が、何をして運営するのか、誰が責任を負うのかを明確にします。これには、プロジェクトマネージャー、運営チーム、サポートスタッフなどの役割分担が含まれます。例えば、毎月の生産スケジュールや品質管理の手順を具体的に設定します。

リスクの評価と対策

プロダクトに関連するリスクとその対策についても詳細に説明されています。
リスクは外的要因と内的要因に分類され、それぞれに対する対策があります。

  1. 外的要因
    • 物価高による仕入値の上昇:例えば、代替材料の検討や日本国内生産先の検討などの対策を講じます。
    • 円安による仕入値の上昇:同様に、代替材料の検討や日本国内生産先の検討が必要です。
  2. 内的要因
    • 人員不足による注文残発生:例えば、派遣会社と協議し、派遣体制を構築するなどの対策を講じます。
    • 強度不足による疲労破壊:強度解析シミュレーションの実施などが対策として挙げられます。

提供価値とプロダクトの特長

プロダクトが顧客のどのような課題を解決するか、具体的な特長を通じて説明します。以下のような構成で説明されます。

  1. プロダクト名
    • (プロダクト名)は、(顧客)の(課題)を(特長)で解決するサービスです。
      例えば、あるソフトウェアが業務効率を50%向上させるといった具体的な効果を表現するなどです。
  2. 提供価値
    • (提供価値)により、(顧客の喜ぶこと)が実現します。
      例えば、時間の節約やコスト削減、業務効率化など具体的な利益を言語化します。

具体的な機能例として、特定の機能でプロセスの効率を50%削減することなどが挙げられます。これにより、顧客がどのように利益を享受できるかが明確になります。

バリューチェーンの説明

バリューチェーンとは、企業が価値を創造し、利益を得るための活動の連鎖を指します。
以下のように主活動と支援活動に分けられます。

  1. 主活動
    • 購買:必要な材料や部品の調達。
    • 物流:製品の輸送と保管。
    • 製造:製品の生産。
    • 出荷:製品の出荷準備と配送。
    • 販売とマーケティング:製品の販売促進と顧客とのコミュニケーション。
  2. 支援活動
    • 全般管理:企業の運営と管理。
    • 人事・労務管理:人材の採用と育成。
    • 技術開発:製品の研究開発と技術革新。
    • 調達:供給者との関係管理と資材調達。

バリューチェーンの各活動がどのように連携して価値を創出するかを明確にすることで、企業全体の効率化と最適化が図れます。

リスクの評価

リスクは影響の大きさと確実性に基づいて評価されます。例えば、物価高や円安による仕入値の上昇は影響が大きく、確実性が高いリスクとして特定されます。これにより、どのリスクに最も注意を払うべきかを明確にします。リスク評価には、影響度と発生確率の両方を考慮し、優先度の高いリスクに対する対策を優先的に講じます。

手順⑤:新商品のオペレーションを構築する

オペレーション構築は、新商品開発・新製品開発・新サービス開発を成功させるための基盤を作る重要なプロセスです。業務の効率化、リスク低減、新商品開発の急速な成長時に対応する余力の確保などが含まれます。オペレーションがしっかりと構築されていることで、新商品開発の持続的な成長と競争力の維持・向上が可能となります。これにより、新商品開発の効率性が向上し、競争力を高めることができます。

新商品開発のフェーズごとのオペレーションの役割

新商品開発の成長過程において、オペレーションは各フェーズで異なる役割を果たします。具体的には以下の通りです。

  1. Solution × Product Fit
    • オペレーション骨子の構築:ビジネスモデルから想定されるフローを作成し、キーポイントを整理します。
      例えば、新しいソフトウェアを開発する場合、その開発プロセスと顧客サポートのフローを明確にすることが必要です。
  2. Product × Market Fit
    • プロダクト市場供給の仕組み化:オペレーションフロー毎のKPIを設定し、PDCAサイクルを構築します。
      例えば、新製品の市場投入時には、製造から配送までの各プロセスで品質と効率を確保するための指標を設定し、継続的に改善を図ります。
  3. Go to Market
    • 市場への供給経路の明確化:新商品のブランディングとの整合を図り、KPIの明確化とその達成を目指します。
      例えば、新しいマーケットに進出する際には、その市場特有の物流や販売チャネルを確立し、迅速な市場浸透を図ります。
  4. Scale
    • オペレーショナルエクセレンス:新商品のブランディングをオペレーションが高いレベルで体現し、組織の7S(Strategy, Structure, Systems, Shared Values, Skills, Style, Staff)とセットで構築します。
      例えば、急成長するスタートアップ企業では、急増する注文に対応するために、オペレーションを効率化し、柔軟に対応する体制を整えます。

オペレーション構築の具体

オペレーション構築には、主にバリューチェーン型とカスタマージャーニー型の2つのアプローチがあります。

  1. バリューチェーン型
    • 主活動に対するオペレーション設計:入庫、受注処理、梱包、出荷、着荷といった主要な活動に対して、効率的なオペレーションを設計します。例えば、製造業では、生産ラインの最適化と効率的な在庫管理が重要な要素となります。
    • 縦割りの組織設計:各部門がそれぞれの役割に特化して効率的に機能するように組織を設計します。例えば、製造部門、物流部門、販売部門が明確に分かれていることが多いです。
  2. カスタマージャーニー型
    • 顧客体験を中心としたオペレーション設計:顧客が商品やサービスを認知し、購入し、利用するまでの全体の体験を最適化します。例えば、ECサイトでは、ウェブサイトの閲覧から購入、配送、アフターサービスまで一貫した顧客体験を提供します。
    • 柔軟なマトリックス型組織設計:顧客体験を最適化するために、組織の各部門が連携しやすい柔軟な体制を取ります。例えば、マーケティング、カスタマーサポート、開発チームが連携して迅速に顧客対応を行います。

オペレーショナルエクセレンス

オペレーショナルエクセレンスは、新商品運営の最適化を目指すアプローチであり、以下の要素が含まれます。

  1. CXにおける予想外価値
    • 顧客に予想以上の価値を提供することを目指します。例えば、注文後すぐに配送されるだけでなく、追加のサポートやアフターサービスが迅速に提供されることです。
  2. プロセスエクセレンス
    • 業務プロセスの効率化と最適化を追求します。これには、無駄の排除、標準化、そして自動化が含まれます。例えば、製造プロセスにおいて、機械化や自動化を導入し、生産性を向上させることです。
  3. 品質へのコミットメント
    • 新商品・新製品・新サービスの品質を高水準で維持し、顧客満足度を向上させます。例えば、品質管理システムを導入し、製品の品質を常に監視・改善することです。
  4. STAFFの意識と組織文化
    • スタッフの意識向上と組織文化の醸成を図ります。全員がブランドの価値を理解し、一貫して行動することを目指します。例えば、定期的なトレーニングやワークショップを通じて、社員のスキルと意識を高めることです。

オペレーション構築のポイント

  1. 明確な目的
    • オペレーションの目的や目標を明確にし、それを全員が理解し共有することが重要です。
      目的が不明確だと、チーム全体の動きがばらつき、効率が落ちる可能性があります。全員が同じ方向を向いて働くために、オペレーションの意義と目標を共有することが必要です。
  2. KPI設定
    • 業務の効果を評価し最適化するために、重要な指標(KPI)を設定します。
      これにより、進捗状況や成果を定量的に評価でき、必要な改善を迅速に行うことができます。KPIは、業務の成果を測定し、成功の基準を明確にするための重要なツールです。
  3. 柔軟性
    • 新商品が成長するにつれてオペレーションを柔軟に変更・調整できるように設計することが求められます。
      予測不能な変化に対応できる柔軟なオペレーションが重要です。柔軟性を持つことで、市場の変化や新しい課題に迅速に対応できます。
  4. 頻繁なコミュニケーション
    • 体制や業務の変更がある場合、関係者全員に明確に伝えることが必要です。
      情報の共有と透明性が、スムーズな業務運営を支えます。頻繁なコミュニケーションは、チーム内の連携を強化し、効率的な業務運営を可能にします。
  5. 標準化
    • 繰り返し行う業務やプロセスは標準化し、効率化を図ります。
      標準化された手順は、一貫性を保ち、エラーを減らすのに役立ちます。標準化は、業務の効率化と品質の一貫性を維持するための重要な手段です。
  6. オートメーション
    • 可能な部分は自動化することで、労力の削減と効率化を実現します。
      これにより、スタッフはより価値の高い業務に集中できるようになります。オートメーションは、作業の迅速化とエラーの削減に貢献します。

オペレーション構築で決めること

  1. 組織体制と役割分担
    • どのような組織体制を構築し、役割分担を設けるかを決定します。
      明確な役割分担は、責任の所在を明確にし、効率的な業務運営を可能にします。組織体制は、業務の流れをスムーズにし、各メンバーが最適なパフォーマンスを発揮できる環境を整えるために重要です。
  2. 業務プロセス
    • 各業務の流れや手順、責任範囲を明確にします。
      これにより、業務の重複や抜け漏れを防ぎ、スムーズな運営を実現します。業務プロセスを明確にすることで、効率的な業務運営が可能となり、品質を向上させることができます。
  3. ツールの選定
    • 業務効率化やコミュニケーションを支えるツールを選定します。
      適切なツールの導入は、業務の生産性を向上させる要因となります。
      ツールの選定は、業務の効率化とコミュニケーションの円滑化に直結します。
  4. 報酬体系
    • 従業員のモチベーションを保つための報酬や評価体系を決定します。
      公平で透明性のある報酬体系は、従業員の士気を高め、パフォーマンスを向上させます。
      報酬体系は、従業員のモチベーションを高め、組織の目標達成を促進します。
  5. トレーニング
    • 新しい業務やツールを導入する際の研修やトレーニングの内容を計画します。
      適切なトレーニングは、従業員が新しいシステムやプロセスに迅速に適応するのに役立ちます。
      トレーニングは、従業員のスキル向上と業務の円滑な移行に不可欠です。
  6. リソース管理
    • 人材、予算、時間などのリソースをどのように割り当て・管理するのかを決定します。
      リソースの最適な配分は、業務の効率と成果を最大化します。リソース管理は、限られた資源を最適に活用し、組織の目標を達成するために重要です。
  7. リスク管理
    • 新商品運営におけるリスクを識別し、それに対する対策を計画します。
      リスク管理は、予期せぬトラブルに迅速に対応し、新商品開発の安定性を保つために重要です。リスク管理は、組織が直面する可能性のある問題を事前に特定し、適切な対策を講じることで、新商品の継続性を確保します。

オペレーションフローの構築

オペレーションフローは、問い合わせから商談、サービス申込までの一連の流れを明確に示します。
例えば、

  1. 問い合わせ:顧客がLPサイトを通じて問い合わせフォームに情報を入力します。
  2. 商談:インサイドセールスが内容を確認し、必要に応じてアウトサイドセールスの日程を調整します。
  3. 申込:商談の結果、顧客がサービスを申し込みます。

このように、各プロセスを具体的に示し、どのツールを活用するか、どの情報を収集するかを明確にすることで、効率的な業務運営が可能となります。例えば、問い合わせフォームにすべての問い合わせが集まり、インサイドセールスで仕分けを行うプロセスや、Q&Aの充実によって顧客の疑問を迅速に解決するなど、具体的なオペレーションフローを構築することが重要です。

手順⑥:新商品のロードマップを作成する

ロードマップは、新商品の成長戦略や方向性を具体的に示すツールです。これにより、チームの一貫した行動とリソースの効果的な配分を促進し、明確な目標やマイルストーンを設定することで進捗を測定しやすくします。ロードマップの作成は、組織全体の整合性を保ち、効率的な意思決定と持続的な成長をサポートします。これにより、新商品開発の方向性が明確になり、全員が同じ目標に向かって進むことができます。

新商品のロードマップの計画・プロセス

  1. ビジョンとミッション
    • ロードマップは、新商品開発の長期的なビジョンとミッションに基づいて策定されます。
      これにより、組織全体が共通の目標に向かって進むことができます。ビジョンとミッションは、新商品開発の方向性を示し、戦略的な意思決定を導くための基盤となります。
  2. 明確な目標設定
    • 期間ごとの具体的な目標やKPI(主要業績評価指標)を設定します。
      これにより、新商品開発の進捗状況を定量的に評価し、方向性を見失わずに進めることができます。明確な目標設定は、組織全体の一貫性を保ち、成果を最大化するために重要です。
  3. マイルストーンの設定
    • 達成すべき具体的なマイルストーンを設定することで、進捗を測定しやすくなります。
      各マイルストーンは、新商品開発の重要な節目や達成すべき主要な目標を示します。これにより、チームは進捗を確認し、必要な調整を行うことができます。
  4. 優先順位の設定
    • 限られたリソースを最も効果的に活用するために、取り組みの中での優先順位を明確にします。
      これにより、重要なプロジェクトやタスクに集中し、効果的にリソースを配分できます。優先順位の設定は、時間と資源を最適に活用し、最大の成果を上げるために不可欠です。
  5. ステークホルダーとの関係性
    • 内部のチームや外部のパートナー、顧客など、関連するステークホルダーのフィードバックを取り入れてロードマップを更新します。ステークホルダーの関与は、計画の実現可能性と成功を高めるために重要です。ステークホルダーとの良好な関係を維持し、彼らのニーズや期待に応えることで、プロジェクトの成功を確保します。
  6. リソース計画
    • 人材、財務、時間などの必要なリソースを予測し、それに基づいてロードマップを構築します。リソース計画は、新商品開発の実行に必要な資源を確保するために不可欠です。リソースの適切な配分は、プロジェクトの効率的な進行と成功に直結します。

新商品のロードマップの運用方法

  1. コミュニケーション
    • ロードマップは組織内の共有資料として機能します。
      そのため、明瞭でわかりやすく、定期的に更新・共有することが重要です。全員が共通の理解を持ち、一貫した行動を取ることが求められます。定期的なコミュニケーションは、チーム内の協力と効率的な業務運営を促進します。
  2. 定期的な見直し
    • 市場の状況や新商品開発の進捗に応じて、ロードマップは定期的に見直しを行い、必要に応じて更新します。
      これにより、計画が現実に即したものとなり、柔軟に対応することができます。定期的な見直しは、計画の精度を高め、成功の可能性を向上させます。
  3. 柔軟性
    • 市場の変化や新たな情報に基づいて、ロードマップを柔軟に調整することが必要です。
      これにより、予期しない変化に迅速に対応し、新商品の持続的な成長を維持できます。
      柔軟性は、組織が変化に対応し、競争力を維持するために重要です。
  4. リスク管理
    • 潜在的なリスクを識別し、それぞれのリスクに対する対策や代替案を準備します。
      リスク管理は、計画の実行において予期しない障害に対応するために重要です。リスク管理を徹底することで、プロジェクトの成功確率を高めることができます。

新商品のロードマップの中長期計画

中長期的なロードマップは、以下の要素を含みます:

  1. 年間目標
    • 各年度ごとの主要な目標を設定します。
      具体的な目標を設定することで、チーム全体が一貫して行動できるようになります。
  2. ターゲット顧客
    • どの顧客層をターゲットにするかを明確にします。
      ターゲット顧客を明確にすることで、マーケティング戦略を効果的に実施できます。
  3. アクション
    • 主要なアクション項目を具体的に言語化します。
      各アクションの詳細を明示することで、進捗を管理しやすくなります。
  4. 営業方針
    • 営業活動の基本方針を設定します。
      営業方針を明確にすることで、営業チームの活動が統一され、効果的な営業活動が実現します。
  5. 5年後のゴール
    • 5年後に達成すべき最終目標を設定します。
      長期的な目標を設定することで、組織全体が一貫して成長を目指すことができます。

新商品のロードマップの年間計画

年間ロードマップは、各四半期ごとの計画を詳細に言語化します。

  1. 第1四半期
    • 最初の3ヶ月間に達成すべき目標とアクションを設定します。
      具体的な目標とアクションを明示することで、スタートダッシュを切ることができます。
  2. 第2四半期
    • 次の3ヶ月間に達成すべき目標とアクションを設定します。
      第1四半期の成果を踏まえた上で、次のプロセスを計画します。
  3. 第3四半期
    • さらに次の3ヶ月間に達成すべき目標とアクションを設定します。
      年度後半に向けた具体的な計画を立てます。
  4. 第4四半期
    • 最後の3ヶ月間に達成すべき目標とアクションを設定します。
      年度の総括と次年度に向けた準備を行います。
  5. 1年後のゴール
    • 年間を通じて達成すべき最終目標を設定します。
      年間目標を設定することで、年度全体の進捗を管理しやすくなります​。

手順⑦:新商品の財務計画を作成する

財務計画は、新商品開発・新製品開発・新サービス開発の成功に不可欠な要素です。
これにより、新商品の売上目標やコスト構造を明確にし、持続可能な成長を実現するための基盤を提供します。

具体的には、新商品開発における収益性や効率性を評価し、投資家や関係者に対して新商品開発の信頼性を向上させるために重要です。財務計画は、ビジネスの成長ストーリーを描き、数字に基づいた合理的な戦略を構築するための基盤となります。

新商品の売上計画

売上計画は、未来の一定期間における新商品の売上高予測や目標を言語化します。
以下の要素を含めて詳細に計画します。

価値提案の確認
  • 競争力と独自性:新商品・新製品・新サービスが市場でどの程度競争力があり、他社製品とどう差別化されるかを理解します。価値提案が明確であることで、顧客に対する魅力を高めることができます。
販売チャネルの選定
  • チャネルの選択:オンライン、小売、卸売、代理店など、どのチャネルで販売するのかを決定します。適切なチャネルの選定は、顧客へのリーチと売上に大きく影響します。各チャネルの特性を理解し、最適な販売戦略を策定します。
販売ボリュームの予測
  • 販売数量の予測:新商品・新製品・新サービスの予想販売数量を定めます。市場調査や過去の販売データを基に、現実的な目標を設定します。これにより、販売計画の信頼性を高め、リソース配分を効果的に行えます。
価格戦略
  • 価格設定と変動:新商品・新製品・新サービスの価格を設定し、時期やセグメントによる価格の変動を計画します。価格戦略は、売上高に直接影響するため、慎重に設定する必要があります。競争環境や顧客の価格感度を考慮して価格を設定します。
セールスプロモーションやマーケティングの影響
  • プロモーションの影響:販促活動やマーケティング戦略が売上にどのように影響するかを考慮します。効果的なプロモーション戦略は、売上の増加に寄与します。例えば、割引キャンペーンや広告戦略の効果を分析し、最適なタイミングで実施します。

新商品のコストの算出

コスト算出は、新商品開発活動にかかる予想される総コストや各コスト要素を計算・詳細化する作業です。
以下の要素を含めて詳細に計算します。

固定費の特定
  • 固定費:毎月一定の賃貸料、給与など、変動しないコストを特定します。固定費の管理がしやすくなり、財務計画の信頼性を高めます。例えば、オフィスの賃貸料や従業員の給与が該当します。
変動費の特定
  • 変動費:販売ボリュームや生産量に応じて変わるコスト(原材料、運送料、外注費など)を特定します。変動費は、売上に連動して変動するため、注意が必要です。例えば、製品の生産コストや物流コストが該当します。
単位あたりのコスト計算
  • 単位コスト:新商品・新製品・新サービス1つあたりのコストを計算します。これにより、価格設定や利益計算がしやすくなります。単位あたりのコストを把握することで、利益率の分析が可能となります。
非予測コストの考慮
  • 突発的コスト:突発的な出費や緊急時のコストも考慮に入れます。予測外のコストに備えることで、リスク管理ができます。例えば、設備の故障や自然災害による影響を考慮します。
初期投資や開発コスト
  • 初期コスト:新しい設備の購入やマーケティングの初期投資など、新商品の開発開始・拡大に必要な初期コストや一時的な開発コストを算出します。これにより、初期段階の資金計画が明確になります。例えば、新しい機械の導入やプロモーション費用が該当します。

新商品の損益シミュレーション

損益シミュレーションを行うことで、新商品の収益性や経営効率を評価します。シミュレーションは、現実的な売上とコストの予測に基づいて行い、収益性を評価します。また、異なるシナリオを検討し、最適な戦略を見つけるためのツールとしても機能します。例えば、楽観的、悲観的、中立的なシナリオを作成し、それぞれの収益性を評価します。

大切なこと

  1. ビジネスの成長ストーリー
    • 財務計画がビジネスの成長ストーリーとして合理的な数字であるかを確認します。数字に裏付けられた成長ストーリーは、投資家や関係者に信頼感を与えます。例えば、売上目標が市場の成長予測と一致しているかを確認します。
  2. 会計のお作法
    • 適切な会計基準と手続きに従っているかを確認します。これにより、財務情報の信頼性と透明性が確保されます。例えば、会計基準に基づいた財務諸表の作成や内部統制の整備が重要です。

手順⑧:新商品の事業計画書をまとめる

この事業計画書は、企業が新しい新商品開発を開始し、成功に向けて進むための詳細な計画を提供します。計画書には、初期顧客レポート、顧客ペルソナ、バイヤージャーニー、プロダクト詳細、オペレーション構築、ロードマップ、売上計画、収益計画、投資計画、新商品開発・新製品開発・新サービス開発のリスクと対策、撤退基準などが含まれています。

初期顧客レポート

初期顧客レポートは、新商品・新製品・新サービスのターゲット顧客についての詳細な情報を提供し、新商品開発の成功をサポートするための重要なツールです。このレポートには、顧客の属性、課題、購入理由、プロダクトに対する期待、検討した類似サービス、顧客の声などが含まれます。

体的には以下の内容が含まれます

  1. 顧客名と決済者役
    • 顧客の名前と、決済を担当する役職を特定します。
      これにより、意思決定プロセスの理解が深まります。
  2. 顧客の課題
    • 顧客が直面している具体的な課題を特定します。
      これにより、提供するプロダクトがどのようにして顧客の課題を解決できるかを明確にします。
  3. 購入理由
    • 顧客がプロダクトを購入する動機を明確にします。
      購入理由を理解することで、マーケティングメッセージを最適化できます。
  4. プロダクトに対する期待
    • 顧客がプロダクトに対してどのような期待を持っているかを確認します。
      これにより、期待に応える商品開発やサービス提供が可能となります。
  5. 検討した類似サービス
    • 顧客が他に検討した類似サービスを特定し、競合分析に役立てます。
  6. 顧客の声
    • 顧客からのフィードバックや要望を収集し、プロダクト改善に反映します。

顧客ペルソナ

顧客ペルソナは、ターゲット顧客の詳細なプロフィールを作成するためのツールであり、マーケティング戦略の策定に役立ちます。具体的には以下の要素が含まれます:

  1. 基本情報
    • 名前、年齢、性別、職業、収入、可処分所得、可処分時間、家族構成、日常のルーティーンなど、顧客の基本的な属性を詳細に設定します。
  2. 消費行動
    • 購買頻度、購入チャネル、ブランド選択の動機、口コミの影響度、好きなエリア、好きなブランド、好きなショップなど、顧客の消費行動を把握します。
  3. ライフスタイル
    • 趣味・娯楽、購買動機、価値観、目標、食生活の嗜好、休日の過ごし方、旅行や外出の好み、スポーツや運動の頻度・種類、活用するテクノロジー、好きな音楽・映画・書籍のジャンル、環境や社会問題に対する意識・取り組み、ファッションやビューティーに対する興味・嗜好、交友関係やコミュニティへの参加度、住居のタイプ・状況、教育や継続学習への取り組み・意識、ペットの有無・種類などを詳細に設定します。
  4. コミュニケーション
    • 活用するSNS、情報収集の手段(雑誌、テレビ、ブログなど)を特定します。
  5. 課題・痛み点
    • 特定の商品・サービスに求めること、解決したい問題、漠然とした悩みを明確にします。
  6. その他
    • ペルソナに関する特記事項やストーリーを設定し、ペルソナの人物像を具体的にします。

バイヤージャーニー

バイヤージャーニーは、顧客が新商品・新製品・新サービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを詳細に示すものです。
以下の要素が含まれます。

  1. タッチポイント
    • 顧客が接触する各ポイントを特定します。例えば、ウェブサイト、広告、店舗など。
  2. 行動
    • 各タッチポイントでの顧客の行動を明確にします。例えば、情報収集、問い合わせ、デモリクエストなど。
  3. 思考
    • 各ステージでの顧客の思考プロセスを把握します。例えば、製品の利便性や価格の妥当性を考慮するなど。
  4. 感情
    • 各ステージでの顧客の感情を理解します。例えば、期待、不安、満足など。
  5. 課題
    • 各ステージで顧客が直面する課題を特定します。例えば、情報不足、選択肢の多さなど。
  6. 対策
    • 各ステージでの課題に対する具体的な対策を示します。例えば、詳細なFAQの提供、比較チャートの作成など。

プロダクト詳細

プロダクト詳細では、提供する新商品・新製品・新サービスについて説明します。以下の要素が含まれます。

  1. プロダクト名
    • プロダクト名とその特長を明示します。
  2. 提供価値
    • プロダクトが顧客に提供する価値を説明します。例えば、時間の節約、コスト削減、効率化など。
  3. プロダクトの機能
    • 具体的な機能とその効果を示します。例えば、特定の機能でプロセスの効率を50%削減するなど。

オペレーション構築

オペレーション構築では、問い合わせから商談、サービス申込までのフローを用意します。
以下の要素が含まれます。

  1. 問い合わせ
    • 顧客がLPサイトを通じて問い合わせフォームに情報を入力します。
  2. 商談
    • インサイドセールスが内容を確認し、必要に応じてアウトサイドセールスの日程を調整します。
  3. 申込
    • 商談の結果、顧客がサービスを申し込みます。

ロードマップ

ロードマップは、中長期および年間の計画を示します。
以下の要素が含まれます。

中長期ロードマップ

  1. 年間目標
    • 各年度ごとの主要な目標を設定します。
  2. ターゲット顧客
    • どの顧客層をターゲットにするかを明確にします。
  3. アクション
    • 主要なアクション項目を具体的に示します。
  4. 営業方針
    • 営業活動の基本方針を設定します。
  5. 5年後のゴール
    • 5年後に達成すべき最終目標を設定します。

年間ロードマップ

  1. 各四半期の目標
    • 第1四半期から第4四半期までの具体的な目標とアクションを設定します。
  2. 1年後のゴール
    • 年間を通じて達成すべき最終目標を設定します。

売上計画と収益計画

売上計画と収益計画では、新商品の売上予測や収益の見通しを示します。具体的な数値を基に、単年黒字化の達成や5年後の売上目標を設定します。

投資計画

投資計画では、新商品の開発・販売開始や拡大に必要な初期投資や開発コストを詳細に示します。例えば、アプリ開発費やマーケティング費用など、具体的な項目とその費用を計算します。

新商品開発のリスクと対策

新商品開発・新製品開発・新サービス開発に関連するリスクを特定し、それに対する対策を示します。リスクは外的要因と内的要因に分類され、各リスクに対する具体的な対策が提案されます。

撤退基準

撤退基準では、新商品開発が期待通りに進まない場合に撤退を決定する基準を定めます。定量的な基準と定性的な基準の両方が含まれ、例えば「20XX年X月までに単月黒字化しない場合」などの具体的な条件が設定されます。

新商品開発・新製品開発・新サービス開発の流れは以上です。


新商品開発・新製品開発・新サービス開発の完了はゴールではなくあくまでスタートに過ぎないので、本記事の内容に従い適宜、新商品開発・新製品開発・新サービス開発の方向性見直しや、ブラッシュアップを重ねることが重要となります。

皆様の新商品開発・新製品開発・新サービス開発が成功することを説に祈っております。

以下、新規事業開発プログラム「アウトレ」のご紹介です。

アウトレについて

新商品開発・新製品開発・新サービス開発を通じて、企業の「挑戦力」「やり抜く力」「創造力」を成長させるプログラムです。
企業の体質に変化を起こし、新しい時代を生き抜く自立自走型企業に生まれ変わることを最大限支援します。

◆こんな方におススメ!

顧客チャネルを増やしたい!

・新商品開発を通じて会社を成長させたい!

・新商品開発をリスクを最小限に小さく始めたい!
・新商品開発を内製化できるようにしたい!

◆導入によるメリット

1.自らアクションすることが主体なので、参加メンバーが大きく成長することにより、会社に良い影響を与える。
2.コスト負担が少なく、自社のペースやリソースの中で新商品開発を進めることができる。
3.主体的に新商品開発を作るので、その経験がノウハウとして社内資産になり、単発でなく連続的に事業を作ることができるようになる。

◆導入企業様(一部)

・KTX株式会社
・昭和鋼機株式会社・粋彩
・豊田合成株式会社
・豊田通商システムズ株式会社
・日本高圧電気株式会社
・株式会社有隣堂
※一部掲載。五十音順に掲載しております。

◆アウトレ統括責任者から一言

〈ピノベーション株式会社 COO 小林延光〉

「人を、企業を、成長させる。新規事業開発はアウトレ」
VUCAの時代、人も企業も変化を求められています。変化を起こすのはいつも小さな一歩から。アウトレを利用してその最初の一歩を踏み出す企業様が増えたら幸いです。「魚を誰かに獲ってもらう」ではなく「魚の釣り方を知り、実行し、自ら獲ることができるようになる。」これが、プロダクトの根幹思想です。
成長には、必ず挑戦とやり抜くことが必要です。ただ、これは「言うは易し、行うは難し」です。アウトレは、皆様の挑戦を傍で支えて、やり抜くことを最大限支援する存在でありたいです。この挑戦をやり抜いた暁には、事業を創り出す力が企業に備わります。一度身につけたものは自分達で繰り返し行うことができます。創り出すことを新たな企業カルチャーに据えれば、数年後には「創造力」を軸にした新たな姿がそこにあります。アウトレは、その大事な一歩を踏み出すためのプログラムとして設計しています。
導入価格の低さ・UXUIの明確さ・アフターフォローの手厚さを特徴に、初めて新商品開発に取り組まれる企業様にぜひご導入いただきたいプログラムです。

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